採用管理システム(ATS)の機能と導入メリット
今回は採用管理システム(ATS)の機能と導入のメリットについて解説します。
採用管理システムを表すATSとは、[Applicant Tracking System]の略で、応募から採用に至るまでのプロセスをひとつのシステム上で一元管理し、採用業務の効率化を図ることを目的とし開発されました。
欧米では以前からATSの活用が進んでいましたが、日本においても近年労働人口の減少問題などにより注目されるようになり、現在約3割の企業がATSを導入しているという調査結果があります。
昨今の求人の動向としては、スマートフォン端末の普及・拡大により、XやFacebookなどのSNSからの直接スカウトや、ダイレクト・リクルーティング、広告媒体等、サービスの多様化により応募者への対応はよりスピーディーに、よりきめ細やかな対応が求められる傾向にあります。
この現状を背景に、採用管理システムを導入する企業が増えているのです。
ATSの主な特徴
ATSには様々な機能がありますが、それらの機能を活用することにより、採用業務の一元管理を実現できるという大きな特徴があります。これまで採用フローや応募者/エージェント/社内関係者ごとにデータを別々に管理している、担当者によって業務のやり方が属人化しているなどの課題を解決し、業務の標準化を実現するだけでなく、オペレーション業務の効率化と工数削減による採用スピードの向上、データ集計・分析に基づく採用戦略策定/意思決定を可能とします。
ATSの機能
求人管理機能
自社の採用サイト向けとエージェント(人材紹介)向けに求人票・募集要項の作成・公開が可能となる機能です。多くの製品ではフォームに沿って入力すると作成できる仕様となっているため、簡単に行えるのが特徴です。他にも項目を企業独自にカスタマイズできる、登録できる求人数や募集要項の数が無制限である、独自の求人サイトを作成できるCMS機能があるものなど様々です。
応募者管理機能
求人を公開している媒体やエージェントからの応募者を一括登録、検索設定により応募者を抽出したり、重複チェックが可能となる機能です。
多くの製品では、職種ごと・応募経路ごと・都道府県ごとなどの応募者集計や、通過率・内定率などの進捗状況を分析する応募者分析機能/レポート機能が標準搭載されています。
面接管理機能
面接日程や場所の設定、面接官の登録や関係者への通知機能、面接評価を行える機能です。製品によっては面接官向けのマイページを作成でき、面接予約受け付け~実施~評価~合否連絡まで一貫して行える機能や、求人ごとの評価項目のカスタマイズ設定、応募者への自動リマインド機能、その他応募者からの予約受付などの機能があります。
エージェント管理機能
エージェントとの求人案件を管理するための機能です。エージェントへのアカウント発行や求人の公開/非公開設定、日程調整、合否連絡、進捗確認、一斉メール送信などの機能があります。
タレントプール機能
過去の応募者や気になる候補者などの人材(タレント)の情報を自社のデータベースに蓄積(プール)する機能です。ステータスを付与して管理し、プール候補者へのイベント案内やスカウト送信も可能となります。
外部連携機能
製品によって連携先は様々ですが、応募チャネル連携、カレンダー連携、LINEやSlack等のチャット連携、適性診断ツールやWeb面接ツールへの連携が可能です。
ATS導入のメリット
採用業務の効率化
ATS導入によるメリットの一つとして、採用オペレーションの工数を削減し、効率的に採用活動を行えることが挙げられます。効率的に採用フローを回せるということは、選考スピードを向上させ、連絡漏れ・ミスを防ぎ、結果的に応募者やエージェントへスピーディーに連絡することができます。
選考フローの日数を短縮し、正確で早い連絡は応募者にとっては内定辞退率を下げるというデータがありますし、エージェントに対しては人材を紹介してもらえる機会を増やすことが期待できます。
採用オペレーションの均質化
次に、採用担当者によって属人化されていた業務を標準化できるということがメリットとして挙げられます。採用担当者によってデータの保管方法が異なっていたり、応募者やエージェントへの連絡頻度や内容にばらつきがあったりすると、その担当者が不在となった場合や人事異動での引継ぎは煩雑なものとなってしまいます。また、担当者によって応募者の通過率や内定率が異なってくるといった事態を招きかねません。ATSの導入は、採用オペレーションの質を一定に保つことができ、人によらない安定した採用活動を実現できます。
採用戦略設計の強化
採用活動全体・各選考ステップにおける数値管理(説明会の出席率や選考合格率等)ができ、自社採用の情報分析が可能となります。集計・分析は職種ごとなど様々な角度で行えるため、通過率がよくない求人や内定辞退率が高い求人など、求人ごとの傾向や課題を明確にし、選考フローの改善に向けた足掛かりとなります。課題が判明すれば対策すべきところがわかるため、手当たり次第にフローを変えたり、対応の仕方を変える必要がありません。データに基づく戦略を考えることができ、採用力強化につながります。
これまでご紹介したように、ATSには代表的な機能がいくつかありますが、製品によって様々な特徴があります。
まずは自社のオペレーションの現状把握や、解決したい課題の洗い出しを行い、どのような機能が自社に必要であるかを見極めてみてください。導入前にデモの実施や、試用版を利用するのも判断材料の一つとなるかと思います。
参考として以下に掲載した『採用管理システム 主要製品スペック一覧』は、ATSの主要製品について、機能や特徴を40項目にわたりまとめています。
製品検討の際にご活用ください。
参考:代表 伊藤監修『採用管理システム 主要製品スペック一覧 2023』
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