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鳥たちが天地に自由に舞う二つのCGアニメーション。「ブルー」と「ハッピー・フィート」。

せめて翼があったらな、遠くに行けたらな、と
Apple  Arcadeでインディーゲーム「Fledgling Heroes」をプレイしている。

ステージ制の強制スクロールアクション。画面をタップし、自機を羽ばたかせて、高度を調整し、障害物を避けるだけ。 片手でもできる。
インコ、ペンギン、フクロウ、始祖鳥、カッコウと、色とりどりが自機。
シンプルだが、南海、北海、遺跡、砂漠、と様々なステージが用意されていて
サクサク進めると、世界を回ってる気分がして楽しいのだ、これが。

そこで、と言っては難だが
今回は(人によっては懐かしい?)鳥たちが空を自由に舞い、歌って踊るアニメ映画を二本、ご紹介する。
前者の舞台が常夏、後者の舞台は常冬と、見た目は好対照。でも、ラブロマンスのアクセントを加えた、自分探しの熱い物語という点で、方向性は同じ。
二つともそこそこ古いCGアニメだが、ビジュアルの粗さを感じさせない、勢いに充ちている。

青いインコが歌い、舞い上がる。 「ブルー 初めての空へ」


ブラジルはリオデジャネイロ(原題も「Rio」だ)を舞台に
ブルーのインコが、歌ありダンスありの冒険を繰り広げる。
製作は「アイス・エイジ」でお馴染み、最新作はトム・ホランド×ウィル・スミスな「スパイinデンジャー」、ユーモラスなキャラクターの動きとコミカルに徹したストーリーが持ち味のブルースカイ・スタジオ(20世紀フォックス傘下だったので、今やディズニーの一員に)。

ブラジル生まれの飛べない読書家インコ“ブルー”は、飼い主リンダと一緒にミネソタ州の小さな田舎町の本屋で仲良く暮らしていた。ある日、鳥類学者チュリオが二人のもとを訪れ、ブルーが絶滅種のインコであることを告げる。そして、仲間たちを救うためにリオデジャネイロへ行くことを提案した。リンダは悩んだ結果、ブルーを連れてリオへ行くことを決意する。リオでブルーは同じ種のジュエルに出会い、一瞬で恋に落ちる。しかし、その夜、ブルーとジュエルは何者かに捕らわれてしまうのだった……。果たして、無事に逃げることが出来るのか!? リオを舞台に、飛べないブルーとジュエル、そして仲間たちの大冒険が始まる。

20世紀フォックス 公式サイトから引用

皆がダンスをしているとか、熱帯雨林があり自然が豊富だとか、ロマンチックなイメージで全編を飾っている。

シナリオは、40年代・50年代ハリウッドのミュージカル映画のテンプレート。
男と女が出会い、男が追いかけ、女がほだされ、恋になり、
でもちょっとした誤解で女が去ろうとし、誤解が解け、
ラスト近くに大きなナンバー(冒頭のリピート)があって、ハッピーエンドだ。
南国ならば、それが微笑ましい。

ジュエルが歌う姿に、ブルーは惚れ、二匹肩を寄せ合って夕暮れの街並みをデートする(トラムに乗って)。
そして終盤、ブルーは自らの感情「ジュエルへの愛」を翼に託して、空を飛ぶ。
感情の高ぶりが歌となってほとばしり出たとき、奇跡が起こる。
シンプルなストーリーだが、それがこのリオでは心地よい。


飛べないペンギンが踊り、舞わせる。 「ハッピー・フィート」。


南極を舞台に、歌を忘れた青年ペンギン が冒険を繰り広げる。
製作はオーストラリアのVFX製作会社アニマル・ロジック
「ベイブ」「ピーター・ラビット」がアニメーション作品では有名。

皇帝ペンギンの世界は歌が命。歌で心を伝えられなければ、一人前の大人にはなれない。音痴な上に、タップダンスが上手という困った皇帝ペンギンのマンブルは、当然のようにエンペラー帝国から追放されてしまう。ひとりぼっちで未知の世界に飛び出すことになったマンブルは、ひょんなことからアデリー・ペンギンの5人組“アミーゴス”、そしてロックのカリスマ、ラブレイスと出会い、次第に自信とリズムを取り戻していく。踊る皇帝ペンギン、マンブルが繰り広げる、自分探しの大冒険が今始まる!

ワーナーブラザーズ 公式サイトから引用

監督・脚本・製作が「マッドマックス」のジョージ・ミラー。
のちの「怒りのデス・ロード」よろしく、英雄誕生譚だ。
楽園を追放されたマンブルが、試練を経て成長し、地球温暖化で沈みかけてる故郷を救うべく、帰還する。

と同時に、これは「ベイブ」のジョージ・ミラーでもある。
こちらはユーモラスでキュートな動物たちの群像の魅力たっぷりだ。
愉快なアミーゴスと出会い、共に過酷な旅を経て、マンブルは成長する。
生まれたての頃は「タップ」というよりは「駆け足」または「足踏み」といった方が良い、不格好だったそれは、旅の試練の中、身体と野生が鍛えられるうち、徐々に洗練されていく。
そして、最後は、皇帝ペンギンの群れ全体を共鳴させ、揺り動かすタップに変容する。そしてペンギンたちのタップが「ノーモア温暖化」のメッセージとなって人類に届く。これを奇跡と言わずに何と言う?

2005年のCGアニメとあって、見た目は流石に古さを感じさせるが、プロットとキャラクタ、そして豪快で壮大なタップダンスは、今なお色あせない。


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ドント・ウォーリー
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