Jump up, Super Star.ジェイソンボーンとジョーカー、夢の共演「ブラザーズ グリム」
Apple Arcadeで配信中、
いま自分が遊んでいるインディーズゲー「タケシとヒロシ」は、
病気がちの幼い弟:ヒロシを、兄:タケシが自分の開発したゲームで楽しませるため奮闘録、だ。
ヒロシはステージ制のRPGをプレイするのだが、このゲーム、勇者を動かすことはできても、敵を自動でエンカウントさせるシステムはまだ整ってないため、タケシが手動で敵を配置する、これをプレイヤーの手で行うのだ。
プレイしてみると、タケシが宣言する
「俺がゲームになる!」
がそう単純なものではないこと、それを実感させられる。
敵が強すぎると、勇者が倒されてしまう(ヒロシを悲しませる)し
弱すぎると手応えがなく、楽しんでもらえない(ヒロシを飽きさせる)。
そしてヒロシが求めるハラハラ・ドキドキのレベルは、ステージを重ねるごとに、どんどん上がっていく。
配置できる敵にランダム性がある&敵味方共攻撃をミスる可能性があるのもあり
覚えゲーとはいかない、意外に歯応えあるゲームだ。
(ヒロシをどれだけ満足させられるか、スコア稼ぎが楽しいのもGOOD)
ステージ幕間のストーリーパートが、あったかいのも良い。
ヒロシは、タケシのゲームを楽しみに(そして生きる希望と)するし
タケシは、クラスメートの協力を得つつ、タケシのためのゲーム開発を進める。
この様子がクレイアニメで描かれて、微笑ましい。
兄弟の物語がどう着陸するのか、頭を使うのが苦手でも、ラストステージまで頑張ってプレイしたくなる。
このような兄弟が、長じて、物語の優れた語り部になっていく。
「語り部で、かつ兄弟」の代表格は、グリム兄弟だろう。
二人は、古代ドイツの法律・言語学・民俗学の研究に生涯を捧げ、「ドイツ語辞典」の完成に一生を費やし、その副産物として「グリム童話集」を生み出した。
ふたりの性格、それは山風が称賛するところ
その勤勉で温雅で質実な性格や生活から、日常においては童話的なところは全然ない兄弟であったが、この稀有な兄弟愛こそ童話的であった。
「人間臨終図鑑」 七十三歳で死んだ人々
の生真面目さだ。
そんな真面目人間の日常を、
何を間違えたか非日常な冒険譚に仕立ててしまったのが、2005本作だ。
監督は元・モンティパイソン、「12モンキーズ」で有名なテリー・ギリアム。
(私にとって初ギリアムだった。苦手意識ができたのは、当然。)
豪華絢爛!一大エンタテインメント超大作!!! グリム童話の誕生に隠された驚愕のファンタジーワールドが今、解き明かされる!! 舞台は19世紀のドイツの村。呪われた森の中で、次々と少女たちが姿を消す・・・。その事件の解明を依頼されたのが、グリム兄弟だ。魔物退治で賞金を稼いできた兄弟は、やがて想像を絶する数々の魔術的な事件に遭遇する。人を襲う木、入り口のない朽ち果てた塔、鏡の世界に住む女王王。少女たちは一体どこへ消えたのか?彼らはおとぎ話のように呪いを解き、幸せな結末を迎える鍵を探し出せるのか!?
伝説のグリム兄弟をめぐる最高にパワフルで謎めいた冒険が、こうして始まった!
ハピネット 公式サイトから引用
重要なのは、
マット・デイモンが兄ウィル(実在のヴィルヘルムは弟)を、
ヒース・レジャーが弟ヤーコプ(実在のヤーコプは兄)を
演じていることだろう。
ジェイソン・ボーンとジョーカーである。どう譲っても研究者には見えない。
ともあれ。ウィルがお伽話の実在を信じない現実主義者で、ヤーコプがお伽話の実在を信じない夢みがちな男。だから二人とも喧嘩ばかりしてる。
この二人が、悪夢の世界に閉じ込められて最初は右往左往するも、
最後には勇気を得て勝利する。ギリアムには珍しく、捻りがない。
で、どうやって戦うのかと言えば、機械仕掛けで戦うのである。
機械仕掛けの鎧を着込み、ボウガンを放ち、ツタに捕まりバンジージャンプ。
あげく、ジャンピング・シューズで宙を飛ぶ。
(当然どこぞの髭親父の代名詞たるハイジャンプも披露する。)
「お金をかけても個性を出せる」ティム・バートン
それでも異形が闊歩するダーク・ファンタジーへと、強引に押し切ったろうが
「お金をかけるとトラブルだらけの」ギリアムの演出は、空回り。
ヘンな世界観よりも、兄弟の装備する妙なガジェットばかりが、目につく。
(「未来世紀ブラジル 」や「ゼロの未来」のそれを思い出してほしい)
そして これ、グリム兄弟じゃない マリオ・ブラザーズを映画化したんだ
(as 魔界帝国の女神)
と、気づいたときには、2時間が無駄になっているのである。
ひまつぶしに、どうぞ。
こちらも、どうぞ。