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早すぎた、女の子のためのえいが。 「午前中の時間割り」

今見ると、びっくりするほど瑞々しい、同時代でいえば「ひなぎく」に該当するような、女の子ムービーなのだ。逆に言えば、政治に揺れる、女のコどころかスケバン万歳、ウーマンリブ(笑)な時代の70年代初頭の日本で受け入れられる余地は、まるでなかった。

INTRODUCTION
17歳の少女が心で綴る!ナイーブな思春期の危険な美しいきらめき・・・
『妖精の詩』(日仏合作)に続いて、羽仁進監督がATGと提携して作り上げた本作は、従来のいわゆる《映画作り》といささか違う印象を与える作品である。常に思春期の人間たちに注いできた羽仁進の深い愛は、名作『不良少年』や『初恋・地獄篇』の映像の世界に結晶した。そして、この映画では、十七歳の二人の高校生に8ミリカメラをあずけ、お互いに撮り合い、撮りたいものを撮るという、新しい映画制作の実験を試みている。ちなみに、主役のひとり、草子を演じた国木田アコは明治の文豪・国木田独歩の曾孫にあたる。

STORY
旅先で死んだ親友・草子の荷物を手に東京に戻った玲子。クラスメイトの下村は玲子の瞳の奥に何かが秘められているのを直感する。二人の間に何が起こったのか。草子はどうして死んだのか。二人が旅先で撮っていた8ミリフィルムをまわす下村の目に映ったものは・・・。

キングレコード 公式サイトから引用

下村は、死んだ草子が残したフィルムを、掛けてあった保険金を利用して一本に繋ごうとする。
遠くのものを撮ったフィルム。自分自身のはだかを写したフィルム。見知らぬ男が写っている、少し気まずくなるフィルム。身近なものを撮った、驚きに満ちたフィルム。
編集を続ける中で、草子の足跡が徐々に明らかになる。どのように行く先々で長い夏休みを過ごしたのか、そしてどうして旅先で見知らぬ男に体を預けたのか、等。

草子がフィルムに残した記録は笑顔に溢れている。それは、見知らぬ世界をカメラで切り取りたい、という望みに託されたもの。
いや、それは

「笑ったり泣いたり、精巧な人形のよう。」「変な子」

と証言される様に、どこか道化じみている。
じっさい草子は、男に体を預けた後、チャップリンに扮してみせるのだその鼻の下に線を引いた顔のまま、小高い山の上に登ってって、そのまま、ふっと飛び降りて、いなくなる。 カメラはその一部始終を目撃していた。

本作は、8ミリで撮られたカラフルな「記録」の像と、8ミリのように敢えてぼやけた像を結んで撮影されたモノクロな「現在=草子の謎を追う」像とを、意図的に混在させて編集させている。
8ミリによる、日光に透かしたビー玉の像、ぐるぐる回る覆いを被せた白熱灯の像は、少女が感性の赴くまま切り取った映像であり、だからこそ、その一部始終は実にときめいていて、その終わりは、実に、空しい。


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