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"落ちていく、というよりも、滑っていく感じがするんだ。"_"Le grand bleu"(1988)
フリーダイビングの世界記録に挑む二人の男を描いた、リュック・ベッソン監督「グラン・ブルー」より 。
フランス人のダイバージャック ・マイヨールをモデルとした同姓同名の主人公を演じるのが、ラース・フォン・トリアー作品常連のジャン=マルク・バールが、エンツォ ・マイヨールカというイタリア人ダイバーをモデルにした彼の友人かつ好敵手であるエンゾ・マイオルカをご存じジャン・レノが演じる。この時点でトレードマークの丸縁眼鏡をすでに着用済だ。
物語は、”少年のような“男たちの友情を縦糸に:すなわちモデルとなった二人がお互いに切磋琢磨して記録の更新合戦を繰り広げた、深海100メートルのダイビングへの挑戦を描く。
ここに、 ロザンナ・アークエット演じるヒロイン:ジョアンナ・ベイカーと出逢い、天涯孤独で「家族はイルカ」というジャックが愛を知るまでのロマンスを横糸に絡めている。
エンゾが言うには「人間よりも魚に近い」 ジャックが、最初にジョアンナに告げる愛の言葉は「イルカに似てるね」。
ジョアンナと出会い、初めて女性を愛することを知るジャックも、結局、陸の上では人間よりも海に恋している。初めて2人が結ばれた夜も、かれは彼女をベッドに独り残し、夜通し海でイルカと戯れる。 そんな彼をジョアンナは海のように受け入れ、新たな命をつないでいく。
つまり、誰が言ったか本作は、ジャックとジョアンナと「海」との三角関係の物語なのだ。
そんなジャックが、「海に潜ること」はどんな感じがするか、つまり二股かけている「海」という淑女のことを、ジョアンナに対して伝えるシーンより引用。
Johanna: What's it feel like when you dive?
Jacques: It's a feeling of slipping without falling. The hardest thing is when you're at the bottom.
Johanna: Why?
Jacques: 'Cause you have to find a good reason to come back up... and I have a hard time finding one.
撮影のカルロ・ヴァリーニと組んでこだわりぬいた、さまざまな海の表情:光を受けてきらきらと輝く海面、ジャンプするイルカ、 2人が100メートルもの深さまで潜る海中の映像、etc.リュック・ベッソンの映像美にも酔わされる、傑作なのだ。
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