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映画の名セリフ、、引いてみた。

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甘い言葉がある。辛い言葉がある。英語だとわかるニュアンス、日本語の方が腑に落ちやすいフレーズもある。 そんな映画の英語の名セリフを、拙訳と共に引いてみる。 目標は和田誠の「お楽し…
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「もう何も手に入らない。」「手遅れよ。」"Touch of Evil"(1958)

1956年型の フォード・フェアレーン(Ford Fairlane)に仕掛けられた爆弾が爆発するまでを、ワンショット・ワンシークエンスで見せつける冒頭の驚くべきクレーン撮影のつかみから始まる、オーソン・ウェルズがハリウッドで撮った最後の映画「黒い罠」(原題:Touch of Evil)より。 天才ウェルズが手掛けたこともあってか、クロバティックな長回し撮影、極端なキャメラ・アングルほかバロック趣味が刻印された異色のフィルム・ノワール、「最後の」フィルム・ノワールという伝説が

「人々は我々を殺人者と呼ぶだろう。」「戦争は殺しだ!それだけだ。」"Micael Collins"(1996)

アイルランドは霧と優しい緑なす丘の国。バイオリンや古謡のひびきにさんざめく丘、イェーツやオファオレンが逍遥して誌を読み、音楽を作った丘のある国。ダブリンは親しみやすい酒場が溢れ、そこでは平和を愛する温和な人々が泥炭の火に頬をほてらしスタウトの酔いを楽しみながらジョイスやオケーシーの作品に浸り切る国。 そんな英国人の呑気なイメージの傍らで、1849年の大飢饉の時草を食べ口を緑色に染めて死んでいった人々や、1916年の独立戦争でイギリス軍のために絞首刑にされたり銃殺されたりした人

ドレイファス「俺は死んだのか?」ヘップバーン「その通り。」_"Always"(1989)

80年代、まだまだスティーブン・スピルバーグは少年だった。自分自身憧れたもの/憧れているもの以外をテーマとする時、筆がまるで進まない。逆に憧れを描く時、彼の演出は「映画を見る際のときめき」にきらきらと輝く。 43年製作の「ジョーと呼ばれた男」(日本未公開)のリメイク版であり、仕事中に死んだ森林火災消火隊員が、なおも恋人を見守り続ける姿を描くファンタジー・ドラマたる「オールウェイズ」は1989年製作作品、スピルバーグの二面性が丁度くっきり出てしまった作品だ。 彼が熱を上げたのは

「ここNASAでは肌の色など関係ない!」_『Hidden Figures』(2016)

作品の中身よりも邦題のせいで日本では味噌がついてしまった感のある、マーゴット・リー・シェタリーのノンフィクション本を原作とした2016年の映画「ドリーム」(原題:『Hidden Figures』)より。NASAで働いていたアフリカ系アメリカ人女性の数学者たちが、アメリカの宇宙開発に大きく貢献した実話を描いている。 あらすじは以下の通り: (ライトスタッフ的に呼べば)「人間を自由世界で最初に宇宙に飛ばす」偉業を支えた裏方たちの、偉大な物語。三人の女性:キャサリン、ドロシー、

「私タランティーノ大好き!」「即興だから、ダメ!」バキュン!_"Cecil B. the Cinema Wars"(2000)

“地上でもっとも破廉恥な人間”の座を巡り、考えられる限りの変態行為を繰り返すディバインと、マーブル夫妻の戦い:1972年の「ピンク・フラミンゴ」で一躍名をあげた“悪趣味の帝王”こと、ジョン・ウォーターズが、今度は公開当時のハリウッドに中指おったてた快作「セシル・B・シネマウォーズ」(2000年)より。 ポリティカル・コレクトネス叫ぶ人々はもちろん、それに異議申し立てる人々も、この作品を肯定できるか?観客の良識(笑)や表現の自由(笑笑)を徹底的に揺さぶってくる映画だ。 どんな

「そんなに走ってどうするの?」マイケル・マンが、男のロマンを厳しく見つめた映画「フェラーリ」。

知っているようで知らないフェラーリの歴史=エンツォ・フェラーリの歴史の一断面を、巨匠マイケル・マン監督が描いた、2024年夏の話題作「フェラーリ」。 未見の方、配信待ちの方のために、以下あらすじを追っていこう。 1898年生まれのエンツォは、自動車が加速度的な進歩を遂げている時代に、少年期を過ごした。自動車はエンツォの人生に大きな影響を与え、青年エンツォはアルファ・ロメオのレーシング・ドライバーになる。 「フェラーリ」の導入部、当時記録されたモノクロフィルムの趣向で挿入さ

「世界はお前のものだ!」_"Scarface"(1983)

子どものころ、グランド・セフト・オートシリーズ(通称:GTA)は「(PTAに禁止されているから)触れちゃいけない、でも遊びたくてしょうがない」蠱惑的なゲームの一つだった。 GTAがティーンエイジに膾炙していたころを知らない世代のために、はっきりここで言っておこう。PSPソフト「GTA:LCS」あるいは「GTA:VCS」を買ってもらって(またはプロアクションリプレイを使って)堂々と遊んでいる同級生は、大人も子供も安心して遊べるNintendo DSしか買ってもらえなかった私ほか

「決めた。私は寝るわ。」_"The Post"(2017)

1913年に生を受けたリチャード・ニクソンは、1946年に共和党より下院議員に初当選。1953年よりアイゼンハワー政権で副大統領を務めた、本来であれば40代にして早くも栄光のアメリカを率いる大統領になっていたであろうエリート。しかし、1960年の大統領選挙でジョン・F・ケネディに敗れたのが第一の大きなつまづき。 雌伏8年、1968年の大統領選挙で勝利し、第37代大統領に就任。その功績は、アメリカ国外から見れば、外交面において多岐にわたる。ベトナム戦争からの完全撤退、冷戦下のソ

『「何でこんなところにいるんだ!」と考えないF1ドライバーなんて居ないんですよ、ヤムラさん!」』_Grand Prix(1966)

本田宗一郎は、自身の妻や友人が買い物に行く際の助けとなるため最初のバイクを発明・販売したを皮切りに、1940年代に創業、今なお日本の自動車メーカーの顔であり続けるホンダの「いま」を作り上げた。 宗一郎は1946年に本田技術研究所を開設し、自転車用補助エンジンを製作した。さらにはモーターサイクルの開発を進め、企業として急速に発展する。オートバイレース世界最高峰「マン島TTレース」に出場し、1961年には125ccクラス、250ccクラスともに、1位から5位までを独占し、世界一

本邦初公開のニュージーランド映画!にもかかわらず、がっかり「バトルトラック」(1983)

日本含め、「マッドマックス2」のパチモンは雨後の筍のように作られたが、ニュージーランド映画「Battletruck」(別題: 「Warlords of the 21st Century」)もその一つにして、なんと日本初公開のニュージーランド映画。1983年公開は、ジェーン・カンピオン監督「ピアノ・レッスン」の10年前、パーシー・ジャクソン監督「ロード・オブ・ザ・リング」の20年前。 ニュージーランドの牧歌的だが曇り空が広がって陰気な景色に、黒煙と爆音をあげて黒い戦闘トラック

「ローマ人の言葉を知っていても、死んだローマ人とは話せませんよ、センセ!」_"S.W.A.L.K. "(1971)

子供たちの気取らないナチュラルな姿を写しつつ、エモーショナルな瞬間を切り取り、なぜか日本では本国と違いヒットした1971年のイギリス映画「小さな恋のメロディ(原題:S.W.A.L.K.または MELODY)」より。 舞台はロンドン東部の下町にある、公立小学校。甘えん坊でいたずら小僧のダニエル(マーク・レスター)が、ガキ大将のオーンショー(ジャック・ワイルド)と友情を深めるのと同時進行で、ちょっとおませな女の子メロディ(トレイシー・ハイド)を好きになり、二人はついに将来を誓う。

「マヨネーズだよ!マヨをくれよ!」French Connection 2(1975)

70年代のハリウッドでは珍しい続編もの(あと有名どころでは「猿の惑星」くらいしか思いつかない)である、1975年の映画「フレンチ・コネクション2」より。前作で逃がした麻薬密売組織のボス、シャルニエ(フェルナンド・レイ)を捕えるため、単身、 フランスのマルセイユに乗り込むジミー・ポパイ・ドイルの活躍を描いている。 続編と言っても、ハックマンとシャルニエ役のフェルナンド・レイ、音楽のドン・エリス以外、キャストとスタッフ は一新。監督はウィリアム・フリードキン…ではなく、フランスが

“15回もジサツしちゃった(テヘペロ”_”Harold and Maude”(1971)

いまだったらA24が配給するだろうが、当時は何を血迷ったか大手メジャー:パラマウントが配給した1971年の映画「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」より。 日本配給元(CIC)も宣伝に頭悩ませたことだろう、音楽を担当したキャット・スティーブンスにクローズアップしたビジュアル、 というやっつけくさい惹句が涙を誘う。 キャット・スティーブンスの甘ったるい声の中で、少年は首を吊る、衝撃の展開から、映画は始まる。「死ぬ死ぬ詐欺」で構ってちゃんする少年は、困ったちゃんだ。 周りを取り

「日曜日、(銀行強盗)以外にやることなんて、あるかい?」"The Thomas Crown Affair"(1968)

70年代前夜、スティーブ・マックイーンが「ブリット」以降のマッチョな役に転じる前夜、さわやかで飄々としたキャラクターを持ち味とした実質最後の作品「華麗なる賭け」(原題: "The Thomas Crown Affair", 1968年、ノーマン・ジュイソン監督)より。 1999年のピアース・ブロスナン主演の無味無臭なリメイク「トーマス・クラン・アフェア」と違って、本作は、いま見てもめちゃくちゃオシャレでカッコイイ映画だ。 監督は、日本ではマイナー、カナダにおいては自国映画産