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花に嵐の映画もあるぞ(邦画編)。

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わたしの好きな映画を、「褒めること」意識してつらつら書いていきます。 取り上げる映画は、時にニッチだったり、一昔前だったりしますが、 そこは「古いやつでござんす」と許して、ご容赦…
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#勝新太郎

シスコン勝新太郎。ブラコン大谷直子。増村保造の異常性愛映画「やくざ絶唱」。

自分の思うままに生きようとする子供っぽさ。どこまでも危なっかしく、だからこそ周りの元気のいいヤツラを魅了し集めてくる人たらしぶり。河内弁のやくざにせよ仕込み杖の按摩にせよ前線からの脱走兵にせよ妥協のない完璧な演じ方を見せてくれる男。 勝新太郎は、今なお、多くの映画ファンを魅了する。 そんな勝新太郎が大映も末期、1970年に主演した増村保造監督『やくざ絶唱』より。はいはいヤクザ映画ヤクザ賛美と席を立つのは待ってほしい。 時はまさにエログロバイオレンスの映画ばかりが受けた時代。

時代劇映画「薄桜記」_愛に命を賭けたあいつと、忠義に命を賭ける俺と。

昨日に続いて、男同士の友愛をテーマにした映画を紹介する。 1959年公開、五味康祐原作、市川雷蔵と勝新太郎ダブル主役の時代劇映画 「薄桜記」だ。 まずは、序盤のあらすじを紹介する。 浪人の中山安兵衛は叔父の助勢に高田馬場へ駆けつける途中、旗本の丹下典膳と知り合い、彼の助言によって決闘の相手を打ち倒した。典膳は同門の知心流の加勢をしなかったことを非難されて道場を破門になり、安兵衛もまた堀内流を破門された。ともに上杉家江戸家老の名代の妹・千春へ思いを寄せる二人は偶然に翻弄され

映画「海軍横須賀刑務所」_トリビアの泉の天の声、勝新の運命を無情に告げる。

昨日の記事に続いて、勝新太郎 主演作品の変わり種を紹介する。 昭和初期の海軍海兵団に一人の男が入団した。頑健な体を持ち、柔道と空手で鍛えた腕力が自慢の志村兼次郎。彼は、容赦ない上官たちの制裁に堪忍袋の緒が切れて、前代未聞、隊長を叩き斬ってしまう。海軍刑務所入りした兼次郎を待ち受けていたのは、やはり苛酷な懲罰であった。怒り心頭、やがて彼は本性である八方破れを丸出しに大暴れ、刑務所内に暴動を巻き起こすが・・・。 持ち前の腕力と度胸、大胆不敵で反逆精神旺盛な兼次郎役には、本作が東

勝新のウラ傑作「とむらい師たち」_ 世界最後のお葬式。

皆様は、先週日曜日の「独眼竜政宗」の名場面、勝新太郎の豊臣秀吉は、ご覧になっただろうか? 春日太一が書いている通りだ。 カメラが拾ったどんな動きでも面白い。 この男の喜劇的な部分が光ったウラ傑作として外せないのが、本作「とむらい師たち」だ。原作は野坂昭如。 葬儀コンサルタントを開業したデスマスク屋のガンめんと仲間は、浄土サウナ、葬儀会館設立、葬博等々奇抜なアイディアとバイタリティーで儲けまくるが・・・現代を痛烈に風刺する大型喜劇。 【スタッフ】 監督: 三隅研次  原作