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花に嵐の映画もあるぞ(邦画編)。

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わたしの好きな映画を、「褒めること」意識してつらつら書いていきます。 取り上げる映画は、時にニッチだったり、一昔前だったりしますが、 そこは「古いやつでござんす」と許して、ご容赦…
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2020年12月の記事一覧

北野武監督「龍三と七人の子分」_昔取った杵柄。 結果は、いかに。

「オフィス北野」離脱以来「晩節が…」の感が多少出てきた ビートたけし。 昨年末紅白の「浅草キッド」であれだけお茶の間を泣かせてくれたんだから、 頼む、「アウトレイジ」の次作を花咲かせてくれ! 今回紹介するのは、北野武が血生臭い「アウトレイジ  ビヨンド」と「アウトレイジ  最終章」の間に撮った、コミカルな映画。 完全に、彼のわがままで遊んでいる作品だ。 ※あらすじ・キャスト・スタッフはこちら。 「昔取った杵柄」 ということで、かつて地獄の顔で鳴らした七人が勢揃いする。

時代劇映画「パンク侍、斬られて候。」_どえらい奴ら、勢揃い。 結果は?

振り返ってみると、今年は時代劇大作が一本も公開されていない。 「燃えよ剣」も「最後のサムライ」も、すべて話題作は来年に延期。 もうすぐ正月、忠臣蔵の季節。「決算!忠臣蔵」公開も一年前のこと。 ちと寂しいので、それなりに話題になった過去の時代劇映画を一本紹介しよう。2018年夏公開「パンク侍、斬られて候。」  芥川賞作家・町田康が2004年に発表した異色時代小説を、「新宿スワン」の綾野剛主演、「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」の宮藤官九郎による脚本、「狂い咲

市川雷蔵「ある殺し屋」_四畳半住まいの、無口な、殺し屋。

殺し屋の物語にどうして人は惹かれるのだろうか。それは、彼らが非現実の世界にいき、「人が人を殺してはいけない」というしごく当たり前の倫理を易々と超越した場所で、遊ぶからだろう。 では、こんな殺し屋はいかがだろう。 ニヒルで無口で自分に厳しい殺し屋。 普段は料理屋を経営し、裏家業は針一本で獲物を仕留める凄腕の殺し屋。 小料理屋の主人・塩沢は高額な金で殺人を請け負う殺しのプロという裏の顔を持っていた。暴力団の幹部・木村の依頼で、敵対する組織のボス・大和田を見事に仕留めた塩沢に、

人生はかくも美しい!井上ひさし脚本の愛おしいアニメ映画「アンデルセン物語」。

親指姫、裸の王様、醜いアヒルの子…ほか、数々の童話をうんだアンデルセン。 山田風太郎は「人間臨終図鑑」でこう紹介する。 手心は加えない。 デンマークの貧しい靴屋で二十二歳の父と、無教養な洗濯女で四十近い母との間に生まれたハンス・クリスチャン・アンデルセンは「デンマークのオランウータン」と綽名のあったくらいの醜男で、そのくせきわめて女性的な性格の持主で、一生ついに女性から恋愛されることなく独身で終わった。 「人間臨終図鑑」七十歳で死んだ人 14歳で生まれ育った街を出郷し、

和製ミュージカル「君も出世ができる」_昭和ひとけた社員のダンス・ウィズ・ミー。

あちゃちゃ…な結果に終わってしまった久々の本格的和製ミュージカル映画「ダンス・ウィズ・ミー」。とことん楽天的な、矢口監督の持ち味が出てて、個人的には好きなんだけどね。 さて、「人が歌って、踊る」邦画の歴史は古い。戦前からすでに「鴛鴦歌合戦」や「狸御殿もの」はじめ、歌芝居やオペレッタとしては数多く存在したし、戦後は美空ひばり、加山雄三、坂本九らが、持ち歌を武器に映画スターとしても活躍した。 そして、いまから半世紀前、本格的なミュージカル映画が登場するに至る。 東宝劇場における

1953年銀獅子賞受賞作「嘆きのテレーズ」…最高だよ、ママン。

この映画は、(二次元の)人妻好きの日本男児に、オススメしたい。 味吉良子、早瀬絹枝、春麗、ブルマ、ホリィさん、雪代巴、うちはサクラ(BORUTO時代)etc. 病弱でマザコンの夫カミーユと、 息子を溺愛している姑のラカン夫人と暮らしているテレーズ(演:シモーヌ・シニョレ)。 ある日、リヨン駅で貨物点検の仕事をしていたカミーユが、イタリア人のトラック運転手ローランと 知り合い、意気投合。酒に酔い潰れ、ローマンに抱えられて帰宅した。 ラカン家では、毎週決まって木曜日に、友人を