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北野武監督「龍三と七人の子分」_昔取った杵柄。 結果は、いかに。

「オフィス北野」離脱以来「晩節が…」の感が多少出てきた ビートたけし。
昨年末紅白の「浅草キッド」であれだけお茶の間を泣かせてくれたんだから、
頼む、「アウトレイジ」の次作を花咲かせてくれ!


今回紹介するのは、北野武が血生臭い「アウトレイジ  ビヨンド」と「アウトレイジ  最終章」の間に撮った、コミカルな映画。
完全に、彼のわがままで遊んでいる作品だ。

※あらすじ・キャスト・スタッフはこちら。

「昔取った杵柄」
ということで、かつて地獄の顔で鳴らした七人が勢揃いする。
歳を取ってもカタギの世界にうまくおさまり切らない老ヤクザたち、このはぐれものたちが、「アウトレイジ 」はじめたけしが好んで取り上げてきたジャンル=「ヤクザ映画」をパロディにする。ハメは外しても、バイオレンスはない。かろうじて暴力的な空気が暴発するのは、最後のバスジャックくらいだろう。

また、剣も足も立たない老人党を主役にすることで(たけしが敬愛する黒澤明監督の)「七人の侍」をパロディにする。いや、「荒野の七人」「鋼鉄の七人」「ワイルド7」「少林サッカー」「博徒七人」ほか「腕利きの7人(または数人)の個性的なプロフェッショナルが、弱者を守る・秘宝を盗むなどの目的のために結集して戦う」後続のフォロワーたち の既成概念を異化しようとする。


たけし自身が主役を演じないのも、従来の「たけし映画」を異化するためだろう。今回は、警察役に引っ込んでしまっている。最後の最後で美味しいところを、持っていくだけ。
反面、それこそ、物語がパンチ力に欠ける一因となっている。「監督・ばんざい!」といい「TAKESHIS’」といい「みんな〜やってるか!」といい、本人が冗談みたいな役柄を(半ば自虐的に)演じるから、ブザマに、妙な印象を残すコメディーとして成り立つのに。(笑えるかどうかは、置いておく。)


チャカしても、爆発力は欠いた結果、映画は傑作にもカルトにもなり切れず「そこそこ面白い佳作」で終わる。 それも、それで、良い。


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ドント・ウォーリー
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