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車いすからベッドへの旅

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毎日、天井を見つめている。ベッドで横になっていると、ぼくの六畳の部屋半分と、ヘルパーさんが仮眠する隣の四畳半三分の一ほどしか視界には入らない。 かぎりなく狭い世界の中で、なにを考…
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記事一覧

まっすぐに

 初めて彼女がわが家を訪れたとき、これまであまり経験したことのない感情に、ぼくの気持ちは…

社会

もっとゆるしあいながら じっくりみみをすましながら えらそうにならないで ことばはとがらせ…

春を待つ手紙

 政治に携わる人の演説を聴いて、投票したい気持ちに駆られたことがあまりない。 思想をこえ…

自分

 昨夜、とっくに結果はわかっていても、まだ観ていなかったお正月の大学ラグビーのビデオを眠…

予告

 ぼくの初チャレンジの「長編になってしまった小説『恋人つなぎ』」ですが、投稿予定の一月中…

時間の奥行き

 何日ぶりだろうか。 毎日のように投稿をつづけていたのに、サポーター(ヘルパー)さんに入…

アルコール物語

 ブーが残念がって、ぼくのアタマをポンと叩いた。 「せっかく、ぼくはやっさんがいちばんになると信じて、一票入れたんやがな。何してるんやぁ、ホンマに」 思わずブーがぼやいたのは、共通の友だちの披露宴の余興のときだった。  らせん状になったストローを使ってのビールの早や飲み競争で、トップになった出場者と投票した人に商品が出ることになっていた。  そのころ、披露宴の主人公の彼とブーは、同じ養護学校で働いていて、一方、ぼくは卒業生としていろいろな集まりの送迎をしてもらっていた。  こ

しかたがない

 なんとネガティブなタイトルだろう。 我ながら、書き進めたくなくなりそうになった。 おたが…

約束

 晩春の夕闇の中で、風と光の濃淡を織りまぜながら、枝いっぱいに薄紫の花房をわさわさと揺ら…

事情

 昨日、ぼくは何も書かなかった。 いや、何も書けなかった。  いつもならタブレットの画面を…

ことば

 最高の一日だった。  自分を確かめられた一日だった。  考えさせられる一日でもあった。 …

影と陰

 天井を正面に置いて、仰向きになっていた。 夕食のあとにうたた寝をしていて、「いま」へ意…

間(ま)

 ぼくの中で親友と呼べる三人のうちのひとり「中村ブー」が、妙にしみじみと言ったことがある…

商店街のジングルベル

 この間、久しぶりに生麩まんじゅうを買いに橋を渡った。 以前はゴールデンウィークから九月までの期間限定だったけれど、人気があるらしくて、いまはいつ行ってもお目にかかれるようになった。 たまに売り切れていると、揚げまんじゅうのお世話になることもある。  このお店の特筆すべきところは、いい意味で味と値段が釣り合っていない点にある。 生地に玉露か何かを混ぜているのだろうか、そのほろ苦さに口もとが緩む。  それでいて、なんと一個「百円」なのだ。 最近、甚だしく時系列に自信が持てなくな