ウエイトトレーニングの前に腹式呼吸を練習する
体幹トレーニングの基本は腹式呼吸です。
腹式呼吸では横隔膜と腹横筋をメインに使います。
息を吸うときは横隔膜が働き、吐くときは腹横筋が働きます。
実際にやってみてほしいのですが、腹式呼吸をするときに、息を吸いながらお腹を凹ますことは難しいですし、息を吐きながらお腹を膨らめるのも難しいです。どちらもやろうとすると胸式呼吸になってしまいます。
体の動きも腹式呼吸であれば、吐くときに胴体が伸び、吸うときは縮むのが吐くときに縮み、吸うときに伸びるようになり、真逆の動きになってしまいます。
力を込めるときには息を吐く
ウエイトトレーニングなどの筋力トレーニングをする際には、力を込めるときは息を吐くように指導します。
ハンマー投げややり投げなどの競技でも、投擲の瞬間に大きな声で叫びます。
これは、声を出す(息を吐く)ことで、腹横筋を収縮させて、体幹を安定させ強い力を出すことが目的です。
しかし、この息を吐いて体幹を安定させることは、腹式呼吸ができることが前提にあります。普段、胸式呼吸をしている人に「息を吐きながら力を込めましょう!」と指導しても、息を吐いてしまうと踏ん張りが効かなくなって、逆に力が入らなくなってしまいます。
場合によっては、重たい負荷がかかったときに腰を痛めてしまうかもしれません。
呼吸で腰痛を予防する
ボート競技の指導者がこんなことを言っていました。
「シーズンオフの時期に、ウエイトトレーニングでデッドリフトやパワークリーンをやらせると、ウエイトを持ち上げるときではなく、持ち上げ終わって床に下ろすときに腰を痛める選手が多い」
多分これは、ウエイトを持ち上げるときは、腰を痛めないように気をつけていて、下ろすときは注意力がおちているということもあるとは思いますが、それよりは胸式呼吸をしているためであると予想します。
ウエイトを上げるときは、ブレイシングして息を止めながら腹圧を高めているのですが、持ち上げ終わって息を吐いたことで、腹圧が下がってしまい腰を痛めているのではないかと思います。
腹式呼吸ができれば、息を吸ったときに横隔膜が下がり腹圧が上がり、吐いたときにも腹横筋が収縮して腹圧が上がるので、常に体幹は安定します。
ウエイトトレーニングをする前のトレーニングとして腹式呼吸の練習をすると、大きな重量も上げることができるばかりでなく、怪我の予防にもなります。