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#きみの鳥はうたえる
『きみの鳥はうたえる』の交情と疎外
『オーバー・フェンス』(16)が公開されたとき、「佐藤泰志の函館三部作」などという惹句を目にして私は憤激した。
村上春樹と同学年に生まれながら四十一才の若さで世を去った佐藤泰志という作家は、熊切和嘉の手で『海炭市叙景』(10)が、呉美保の手で『そこのみにて光輝く』(14)が映画化されたことなどを契機としてすこしずつ再評価の波が寄せはじめていた。二作のあとを継ぐようにして山下敦弘の『オーバー・フェ
きみの鳥はうたえる/体を重ねることよりも言葉がもつ強さ
「寝ても覚めても」とともに話題にあがっている「きみの鳥はうたえる」を観てきた。
先に言うと「寝ても覚めても」は俳優の力点で強行突破した映画だったけれど、「きみの鳥はうたえる」は3人の俳優が掛け合いながらじっくりと作り上げていく。そんな印象だった。
原作を読んでいないので正確な比較が出来ないのだけど、舞台を東京から函館に移したのは正しいと思う。この関係を今の東京で描いてしまうと単調な生活の中で