名作・現代を暗示した作品「卒業」「タクシードライバー」「キング・オブ・コメディ」「ディア・ハンター」
カナダ生活11年目のWakei です。
最近観た映画4編をサッとご紹介します。
卒業 ・The Graduate 1967年
主演はダスティン・ホフマン。
若いですね。そしていかにも真面目そうなお坊ちゃん顔ですね。
卒業の晴れがましさとその後に来る虚無感、将来の期待されたレールにサッサと飛び乗れない悶々とした気分が伝わってきます。
ロビンソン夫人の誘惑にドギマギしてヘンテコなベンとその後、夫人との肉体関係にドップリ、まったりするベン。でも心は満たされません。
男性も肉体関係経験で自信がつき、こんなに大豹変するんでしょうか?
エレーンとの恋は、ロビンソン夫人との関係の卒業、自分で進む人生への始まりでもあったんでしょうね。
ベンの体験に共感できる男性も意外にいるんじゃないでしょうか。
そんな男性の気分も感じられ、女性にもおススメ。
タクシードライバー ・Taxi Driver 1976年
主演はロバート・デニーロ。
ベトナム戦争の帰還兵で不眠症に悩みながらもニューヨークでタクシードライバーとして孤独に生きているトラヴィス。
選挙事務所で働くベッツィに一目ぼれしてデートに誘ってみたものの、感性のズレで振られてしまうトラヴィス。納得のいかないベッツィとの別れから、今度は社会正義に生きる価値を求めます。
みんな普通に生活しているようで、ニューヨークにはトラヴィスのように戦争の後遺症や貧困、犯罪や労働の日々の中で、生きる喜びを実感できず、暮らしている人も多いんだろうな、と感じる映画です。
格差も貧困も不運も「すべては自己責任」と切り捨てる社会は、一見普通に生きている、多くのトラヴィスを産み出し、内包しているでしょう。
現代の日本にも心あたりがあるような・・・
最後のシーンはなんとも思わせぶりです。
キングオブコメディー ・The King of Comedy 1982年
主演はロバート・デニーロ。
はじめこの主人公ルパートが、ロバート・デニーロだと全く気づきませんでした。
ロバート・デニーロと言えば、ハンサムでかっこいいイメージ。
あのタクシードライバー役の異常性があっても、素のカッコよさがチラチラ見えたのに、このルパートは変すぎて信じられませんでした。
しかもこの映画、ロバート・デニーロからマーティン・スコセッシ監督(タクシードライバーの監督)に持ち掛けたっていうから、驚きです。
ロバート・デニーロって実は凄い俳優さんだったんですね。そこまでとは思ってもいませんでした。
さて、映画ですが、主人公ルパートは、自分しか見えません。妄想でキング・オブ・コメディとして、スターになることを描きますが、もちろん、現実はそう甘くはありません。
ルパートはニコニコして、穏やかそうですが、常識というブレーキがきかなかくなっているので、何をしでかすかわからない、かなり厄介な人です。
正攻法がだめなら、邪道であっても自分の欲求を達成させるために、躊躇いなく、自分の憧れのスターを誘拐してテープでぐるぐる巻きにしてしまいます。その目標達成へのエネルギーは凄まじい。
私たちのまわりにも、ルパートのように一見無害な人が、罪悪感もいらない想像の世界で、自分の思い通りでやりたい放題の、時には怖い妄想をしながら、不満な日常をやり過ごしていいる人がいるかもしれません。
その人が、妄想で終っているのか、実行するのか、その境界は案外危いかもしれませんよ。
この映画では心理的な緊張感はあったものの、誰も殺されなかったのが、救いです。
ディアハンター ・The Deer Hunter 1978年
主演ロバート・デニーロ。
この映画は本当におススメ映画です。
アメリカのピッツバーグの郊外の町の製鉄所で働く、ロシア系移民の若者、マイケル(ロバート・デニーロ)たち。
仕事の帰りにはバーでみんなで飲み、週末には鹿狩りに山に行く、仲間の中には結婚するものもでてきて、小さな町の贅沢な暮らしではないながらも若者たちは楽しく過ごていました。
ところがベトナム戦争は彼らを変えてしまいます。
この映画は下手な感想を読むよりも、観た方がいいです。
この映画にはメリル・ストリープが出てきますが、当時、彼女は舞台女優で、メリル・ストリープの演技がデニーロの目に留まり、デニーロが出演を推挙したそうです。
なので、この「ディア・ハンター」がメリル・ストリープの公開された最初の映画作品というのも驚きです。(ディア・ハンターWikipedia より)
やっぱりすごいぞ!ロバート・デニーロ!
映画はもちろん素晴らしいです。観ましょう。
感想
タクシードライバー、キングオブコメディ、ジョーカーと言った映画には共通している視点があります。
自己責任、格差が濃厚になっていく社会で、弱者に甘んじている普通の人の個人テロ、逆襲、正義、自己実現です。
最近の安倍前首相の殺害もここ数年増加している無差別殺人、銃乱射などを暗示した映画でした。
そして、もう一つは、ダスティン・ホフマンやロバート・デニーロと言ったちょっと前のスターの作品を観ましたが、やはり俳優さん達、みんな若かったときは、カッコよかったんだなぁ、と思いましたよ。
どんな風に年を重ねていくのかを観れるのも映画の面白さですよね。それは見た目だけじゃなくて、人間性にもにじみ出てくるし。
映画って、映画の中のいろんな人生を感じることができると同時にその俳優さんの持っているものも感じることができるのが魅力だなぁと思いました。
サポート大歓迎!あなたからのコーヒー一杯分のサポートが、未だ悪戦苦闘中のカナダ生活の楽しさと苦悩?の発信の励みになります。😊