中国のTV番組で歌った「九月九的酒」
カナダ生活11年のWakei です。
昨日は9月9日「重陽の節句」の日でした。
重陽の節句は正直なじみの少ない節句ですが、思い出の日です。
なぜって、27年前に中国の地方TV番組で留学生仲間と
「九月九的酒」と言う曲を歌ったからです。
27年前中国へ語学留学
27年前、私が34歳のとき、私は中国に3か月間、中国語を勉強しに
行きました。語学留学というよりも語学遊学です。
大学の単独卒業旅行で中国旅行に行って以来、興味を持って時々、独学で中国語を勉強していたんですが、一向に頭に入らないので、いっそのこと中国で短期で勉強してみたいという軽い動機でした。
運よく知合いの武漢の中国人家庭にホームスティできることになり、
3か月間、武漢大学の中国語コースに通ったのです。
同じアジアでありながら、カルチャーショック続きの3か月間でした。
武漢大学の留学生たち
当時も多くの留学生がいて、アフリカからの留学生が多かったことには、
驚きました。彼らは公費や国費留学生です。
フランス語圏、英語圏、スペイン語圏が混在するアフリカ系の学生が、共通語である中国語で会話している様子は、不思議な感じがしました。
他にもアメリカやヨーロッパ、アジアの若者、韓国のビジネスマンや高校卒業後、中国の大学進学を目指す日本人学生もいました。
創価大学は中国の大学と提携しているらしく、創価大生も複数いました。
当時の留学生は珍しい存在でお客様的、留学生寮は一般学生の学生寮よりもずっと快適そうでした。(私はホームスティ)
今でこそ富裕層が大量発生している中国ですが、当時は留学生はリッチに見られていたんですよ。
そんな何かと不便な時代の中国ですから、留学生の間では、中国と母国との勝手の違いが定番の話題でした。
大学からの小旅行の招待とその条件
春の学期が終わるころに留学生に大学からお知らせが来ました。
大学が留学生を無料で3泊4日の小旅行に連れて行ってくれるというのです。
重慶を経て三峡クルーズをするとっても魅力的なツアーです。
三峡と言えば三国志の舞台になった場所らしく、
有名な観光地へタダで行けるなら行くしかないでしょう。
ただし、条件付き。
参加する留学生は、重慶で行われるTV番組「留学生の祭典」に参加すること、そしてその練習のために数日間夜の歌の練習に参加すること、でした。
結局、日本人で参加したのは、私よりも上級クラスにいた女子と学部にいた女子の3人だけでした。
「九月九的酒」を歌う
練習曲は3曲。一つは英語の曲。一つは中国の伝統的なデュエット曲。
男性パートと女性パートで別れて歌います。2つとも題名は忘れました。
そして「九月九的酒」です。この歌は
また9月9日が来た
ここにいると寂しさが募る
重陽の日は故郷に帰って、
友人や家族と酒を飲んで楽しくやりたい。
故郷が懐かしい、さぁ家に帰ろう。
というような意味で、重陽の節句の9月9日にちなんだ故郷を思う歌です。
(意味が間違ってたら教えてください)
当時の中国も多くの人が貧しいの故郷の農村を離れて、都会に出稼ぎで来て大変な生活をしていた人たちの心情を代弁した歌だったと思います。
故郷を離れ、中国で孤軍奮闘している留学生にもぐっとくる歌なんですね。私も歌いながら泣けてきましたよ。
それでいて、シンプルで大きな声で元気に歌えるのがいいです。
重慶の「留学生の祭典」
旅行の2日目、マイクロバスで重慶の町の数百人は入る大ホールに着くと、さっそくリハーサルが始まりました。
会場には各地の大学から留学生たちが、集まっていました。
歌やダンス、民族舞踊、楽器の演奏、など各大学趣向を凝らした出し物です。イエメンの学生の剣の舞や新疆ウイグルの踊りなど、他の大学の出し物は思った以上に本格的で面白かったです。
私たち武漢大学留学生チームは25人程度で大所帯の素人軍団ですが、
浴衣を着た日本人留学生女子とアメリカ人男子留学生が、歌をバックにドラマ風に演技したり、私たちもフォーメーションや振りがあったりと、学芸会のような微笑ましい出来だったと思います。
そして私たち武漢大学の留学生グループが「九月九的酒」をみんなで元気に歌ったのが、観客にとてもウケました。
伝統的な古い歌なのかと思ったら1994年の歌で、当時は1995年ですから、当時の流行りの歌だったんでしょうね。
しかも留学生に歌わせるのが、心憎い演出ですよね。先生の狙い通りです。
歌と思い出は残った
私たち留学生はその映像を家族に観てもらえるわけもなく、自分達の記録も舞台上の集合写真ぐらいしかありません。
ホールは満席で、ホール中央には市の重要なゲストが座っていましたが、
中国の気楽さと仲間がいる安心感で緊張することもなく、私留学生には
貴重な体験と楽しかった思い出だけが残りました。
まさか中国のテレビ番組に出ることになるとは思ってませんでしたからね。
参加した留学生も異国でステージに立てて嬉しかったと思います。
私は今でもこの「九月九的酒」が好きです。
伝統的な編曲と中国らしい大らかでのびのびとした曲は、
みんなで盛り上がるにぴったり。
また9月9日が来て「九月九的酒」を口ずさむと、27年経った今も
当時を思い出します。
あのときの仲間は一体どうしているんでしょうね。
彼らも9月9日にはあの日のことを思い出しているかもしれませんね。
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