季語:猟期果つ、雨水、耕
①節くるる拍手厳と猟期果つ
(ふしくるるかしわでげんとりょうきはつ)
②山肌の陰影へ雨水の調べ
(やまはだのいんえいへうすいのしらべ)
③国何処耕しけるはマンザナー
(くにいずこたがやしけるはマンザナー)
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①毎年、自分で釣った鮎の料理を振る舞ってくれる伯父(より、もう少し遠い親戚のおじさん)がいました。大きくて豪快な、とても優しい人。お正月には、一升瓶を持って遊びに来てくれた。詳細は不明だけれど、その伯父の口から、何度か「猟友会」という言葉を聞いた記憶があります。「猟期果つ」の季語からこの伯父を思い出し、想像して詠んでみました。「節くるる」は、「節くれだった」という意味で使ってみましたが、どうでしょうか。
②自宅から見える遠くの山々を見ると、積雪の有無と凹凸によるのか、白い部分と暗い部分のコントラストがはっきりしています。いっとき暖かくなった当地でしたが、昨日からまた雪が降っています。もう少し暖かくなったら、山にも春の雨が降るのかなぁと思っています。
③土を耕した経験は、思い出す限り私にはありません。今回、「耕す」という言葉を見て浮かんだのが、第二次世界大戦中、カリフォルニア州のマンザナー(マンザナール)という地にあった、日系人収容所の土地です。アメリカの国定史跡となっているこの場所を、10年前に家族で訪れました。今何かを語れるほど、私は歴史を知ってはいません。また、収容所があったのはマンザナーだけではありません。合法的にアメリカに住んでいた人々、アメリカの市民権を持っていた人々でさえ、日系人ということで容赦なく敵扱いをされ、収容された。絶望の中、乾ききった土を耕し、見事な農園や庭園を築いていったという当時の日系人の方々を思い、詠ませていただきました。
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(トップの写真は、マンザナーで撮ったものです)