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63 お父さんを殺して死ぬ

2024年7月 両親が高齢者向け住宅に入居して7か月が経った。
最初の頃は外出は通院程度しか許可されなかったが、先月から叔父か叔母が付き添えばコンサートやイベントに行ったり、スーパーに買い物に行ったりできるようになった。
それは母にとってはかなり気晴らしになるようであった。
しかし同時に認知症も進んでいるようである。
7月中旬に叔母からメールが来た。
これはその一部である。

このところ週に1回くらいお母さんから電話があります。
ここにいてもやる事が無いから家に帰る
離婚も考えている
死にたい
お父さんを殺して死ぬ
と言います。
関係ない話をしていると落ち着きますが当分これは続くと思います。

実家の片づけをしていた時に大量の写真が出てきた。
アルバムに貼られているものは裏にのりがついていてアルバムごと処分したのだが、バラバラに保存されていた両親の若いころの写真は処分できずに私の家に送った。
写真の若い二人は私の両親でありながら、全く知らない人を見ているような気がした。
色々な歴史を経て二人は今年90歳を迎えた。
旅立つまでまだまだ紆余曲折あるのだろうし、彼らより先に私にその時が来るかもしれない。
認知症になりこんな物騒なことを言う母に正直悲しい気持ちになるが、これが今の現状であるし私自身何ができるのかわからない。




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