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65 家に現れていた両親の闇‐2
2 母の部屋
実家は二階建てで母が毎朝熱心にモップをかけていたので一見きれいに見えた。
玄関のスリッパ立てには来客用のスリッパが置かれており、突然の来客があっても慌てふためくような状態ではなかった。
帰省した時は2階の大広間を使っていたがそこも一見きれいに片付いており、何の問題もなさそうに見えた。
母の部屋は4畳半ほどの板張りの部屋で、本棚には読みもしない本のコレクションがぎっしりと容量の200パーセント以上収納されており、録画しただけで満足し見返す事のないビデオテープ、DVD、カセットテープがぎっしりと棚に収納されていた。
ざっと数えてもその数は1000本を超えていたであろう。
その周囲には母の服が山積みになり、机の上にはDMや雑誌やサークルの会報や何やらが山積みになっていた。
今回の片付けで手を付ける事を躊躇していた場所の一つが母の部屋でもある。
物を動かさないとホコリもすごい。
ホコリは死んだエネルギーである。
勇気を出して母の部屋の片づけを着手してわかったことは、母は10年以上前からセルフネグレクトであった。
きれいに見える家の中で、母の部屋だけがごみ屋敷同然となっていた。
その頃から認知症が始まっていたのかもしれないが、母はホコリという死んだエネルギーの中で、山積みの服や書類に埋もれ、徐々に壊れて行ったのだ。