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「瀧の湯」で、人生でいちばん美味しいお餅を食べ、今でも片想いしている話。
2018年11月10日。お餅にはじめて恋をした日。私たちを魅了した、人生でいちばん美味しいお餅を出してくれた宿「瀧の湯」を紹介する。
今回の旅行の発端は、仲の良い新卒の同期と「どこか旅行したいね。研修終わってからしばらく会っていないし。」と、当時お互いが住んでいる東京と北海道の中間地点だからという理由で、福島県会津若松市に友人と2人で旅行することになった。当時の目当ては温泉と紅葉と外遊び。
近くに公園があって、紅葉が綺麗に見えて、宿には貸切露天風呂がある「瀧の湯」を選んだ。私たちには完璧すぎる宿だった。
お腹を空かせに背炙山でターザンになる
宿に荷物を置いたあと、夜ご飯と翌日の朝ご飯のために運動しようとアスレチックがある公園に行くことになった。宿からタクシーを拾い、車で20分弱のところにある背炙山(せあぶりやま)の冒険の森。
「背炙り」と聞くと怖い印象を抱くが、由来は意外にも美しい景色からだった。
昔、地元の人々がこの山を越えて、行商や山仕事に行く途中『朝は東から上る太陽を、帰りには沈む夕日を「背なか」にあびながら』家路についたことから、この名がついたといわれます。
当時はあいにくの雨。でもそんなのお構いなしに友人と2人、誰もいない冒険の森のアスレチックを1~25番の全種目を制覇する。2人ともアスレチックをなめてかかっていてロングスカートで挑んだのは、今思い出しても笑える。
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25種目はこちら。
2人とも雨に濡れへとへとになりながら、25番目のクライマックスはターザンロープ。腰が引けているが無事にターザンになれた。
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想像より速くて怖かった……
星が見える貸切露天風呂で筋肉をねぎらう
アスレチックにすっかり体力を奪われた私たちは足早に宿へ戻り、夜ご飯を済ませた。そして瀧の湯で一番楽しみにしていた屋上の貸切露天風呂へ向かう。
2人で入るには十分すぎる広さのお風呂で、清潔感があり、眺めも素晴らしくいい。下を覗けば紅葉が見えるし上を見上げれば夜空が見える。空気が澄んでいて気持ちいい。筋肉痛に沁みわたる、ちょうどいいお湯加減。
明日の朝食を楽しみにお風呂を後にした。
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魅惑のお餅との出会い
朝食は、「ご当地グルメを効率よく食べられそう」と思い、宿の朝食をつけることにした。わっぱ飯やこづゆ、ソースカツ丼などが出てくるのかなと想像しながら朝食会場へ向かった。
朝食はバイキング形式だった。順路にそって自分が好きなものを自分で器に盛っていく。しばらくして順路の終わりに近づくと、女将さんが盛ってくれるコーナーに着いた。洋食のバイキングだと、ステーキの実演調理の立ち位置。
そこには炊飯器があり、中にはたんまりと作られた出来立てほやほやのお餅があった。女将さんがあんこときな粉がかかった2つのお餅を私のお盆に置いてくれた。見た目はいたって普通のお餅だ。他の料理も美味しそうだったので特に気に留めず席へ戻った。
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主食と副菜を食べ終わったあと、ついにお餅を食べるときがきた。
「?!」
衝撃が走る。なんだこの柔らかさと絶妙な甘さのハーモニーは。
友人と目を合わせて同時に声を出す。
「「やばい。めちゃくちゃ美味しい。この旅イチじゃない?」」
「「このお餅、持って帰りたーい!!」」
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あなたには忘れられない食べ物や体験はあるだろうか?
私は6年経った今でも、この宿での出来事以上に鮮明に覚えている旅行はない。本当に衝撃的な出会いだった。
今、私は住まいを東京へ移し、以前よりも福島へアクセスしやすい環境になったため、またこのお餅を食べに瀧の湯へ行こうと思う。
お餅への片想いの実らせ方を切実に知りたい。