真夏の君と白いカーテン Episode 6
校舎に残っている生徒は俺と悠人だけだと思い込んでいたためか、彼女のか細い声が聞こえたときは腰を抜かしてしまいそうだった。この教室にいるということはクラスメイトだろうと予想できるが、今にも消えてしまいそうな声は一度も聞いたことがない。近づきたくても近づけない、冷たく厚い空気で圧迫されているようで後ろを振り向く事で精一杯だ。
「ねえ、帰るの?」
「えっ、あ、はい」
「そっか」
何がしたいのか分からないが、彼女はあからさまに残念がる声色に変えた。未だにカーテンに隠されて