読書感想『発現』阿部 智里
通っている大学に、突然姪っ子が尋ねてきたさつき。
聞けば、両親が喧嘩をしたので仲直りをさせて欲しいと言い出す。
歳の離れた兄たちに何があったのかと心配したさつきだったが、兄の大樹は謎の幻覚に悩まされ統合失調症と診断されていた。
病状が落ち着くまで実家に帰ることにした大樹だったが、さつきと一緒にいると大樹の病状が不安定になりさつきもストレスをためてしまうことに。
仕方なく、さつきが大樹の家に避難することになったが、やがてさつきにも幻覚が見え始め…
同じ幻覚に悩まされる彼ら…それはどこから来るのか。
過去と現代が交錯しながらその幻覚の謎に迫る。
最初はホラーな印象から始まり、思わぬところに落ち着くファミリーヒストリーとてもいうのか?な??な、一冊。
うーん…全体的には面白かったんだが、最後が微妙に納得いかない感じの…うーん…いや、悪くはないんだけども…
序盤、さつきと大樹はじわじわ迫りくる幻覚に悩まされる。
咲き誇る彼岸花と生きてることを責めてくる少女の遺体である。
兄妹そろって悩まされる幻覚が、実は自殺した母親も見ていたものだと知るくだりなど、非常に気持ち悪く怖い。
そして並行して描かれるのは、過去に突然飛び降り自殺をした男の話である。
戦争で満州にいた彼は紆余曲折経て日本へ帰りつき、仕事仲間からの信頼も厚く幸せな家庭を築いていたはずなのに、ある日突然何かに追われるように飛び降り自殺をしてしまったのだ。
彼に何があったのかを調べていくパートが展開され、やがてそれは現代のさつきたちと深く繋がりがあることなのだと明かされていく。
文章は読みやすく、話のテンポも展開も面白くサクサク読める一冊なのだが…
うーん、個人的には最終結論がいまいちしっくりこず最後にえ?その結論??となってしまったちょっと残念な一冊かも…。
いや、幻覚がどこから来るのかとか、それが何故さつきたちにも見えてしまうのかとか、面白くないわけじゃないんだが…
なんか、結局…何も解決しなかった…よ、ね???な感じ…。
最後書き込みが甘いのかなぁ…なんか、肩透かし食らった感じ…。
いや、うーん、そこまで、面白かったんだけど…なぁ。
何だろう、しっくり腑に落ちない感じ…。
うん、個人的にそんな感じ…。
途中までドキドキわくわくしてたんだけどな…ちょっと残念。
こんな本もオススメ
・辻村 深月『きのうの影踏み』
・道尾 秀介『いけない』
・芦沢央『火のないところに煙は』
たまたま読んでる本がホラー続きだったんだが、うーーーーーん…やっぱり、合わないのかも。
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