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読書感想『母性』湊かなえ

愛能う限り、大切に育ててきた娘…

自宅の中庭で倒れていた女子高生は、自殺なのか…
母親は「愛能う限り大切に育ててきた娘が、こんなことになるなんて」とコメントする。
果たして女子高生は、事故か、自殺か、それとも他殺なのか…
母親の手記と、女子高生の回想…視点の違う二人の真実から浮かび上がる真相とは…。


映画化もされた湊かなえ氏のベストセラーを久しぶりに再読。
細かいところはほとんど覚えてなかったので純粋に楽しませていただいたんだが、あー…この感じ、このなんとも嫌な感じ…めっちゃ湊かなえ作品って感じ…⁽褒めてる⁾
ストーリのほとんどは母の手記と娘の回想が折り重なるようにして構成されており、その中でずっと「母」と「娘」のことが語られる。
ただ、この母の手記…読めば読むほど、そうじゃないだろ…といいたくなる、なかなかにグロテスクなものなのである。
「母」に大切に育てられ、「母」をこよなく愛する「娘」。
「娘」はひたすらに「母」の愛を求めており、それが彼女のすべての存在理由であり自分の価値だといわんばかりの、とんでもなく依存した母娘愛の産物なのである。
「母」を愛することがすべての「娘」が「母の愛」を得るために全ての行動の基盤にしている様を、当然だといわんばかりに語るのである。
うわぁ…なんて…なんてグロテスク…こうね、背筋が泡立つ感じの、異常性…。
湊かなえ作品は、ほんとこういう歪で行き過ぎた…それはもう愛じゃなくて執着とか固執ってやつなのでは?と思わせる感情の表現がすさまじいですね…。
納得とか共感よりも、嫌悪感とか忌避感が勝つのに、その気持ち悪さに絡み取られるみたいについつい読んじゃうんですよね…。
うん、全然共感はできないし、マジそうじゃねぇだろう…って思うのに、面白かった…。
そうほんと、面白いんだよ…湊かなえ作品…読んでてすっげーやな気分なのに(笑)

こんな本もオススメ


・芦沢 央『悪いものが、来ませんように』

・天祢涼『あの子の殺人計画』

・町田 そのこ『星を掬う』

母と娘、って距離感が狂うんだろうなぁ…

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