読書感想『家族解散まで千キロメートル』浅倉 秋成
結婚するまで実家を出てはならない、という暗黙のルールを守ってきた喜佐周(きさ・めぐる)とその兄姉。
兄はすでに結婚して家を出ており、姉と周の結婚が決まったことをきっかけに古びた実家を解体することになった。
実家の荷物を整理していた時、庭にある倉庫から誰にも見覚えのない仏像が発見される。
青森の神社で盗まれたというご神体に瓜二つなそれに周たちは凍り付いた。
「また親父が馬鹿な事をしでかした…」
いつも家にいない父は過去にも謎の窃盗品を倉庫に隠した過去があり…
今日中にご神体を返せば犯行は不問とする、という宮司の言葉を信じ彼らは埼玉から青森までの移動を決意する…
昔から、家族全員のお荷物扱いだった父親…そんな父親のしりぬぐいをさせられる母親と兄弟のお話…で、始まるんですが、最終的にはこの家族の抱える根本的な問題に向き合うことになる家族の在り方を考える一冊。
うーーーーーーん…序盤の、倉庫から仏像が出てきて全員がパニックになりながらもなんとか事態の収拾を図るところはとても面白かったのですが…個人的には真相というか、長女の言い分がいまいち入ってこなかったので最終的には微妙な読後感。
終始感じる、なんだろうな、価値観の押し付けというか…その言い分はちょっと強引だし、いくらなんでもお父さんの行動がめちゃくちゃ気持ち悪い…。
いや、うん、いろいろなきっかけを作った行動も褒められないし、そのあとの過ごし方も怖いって…んで長女の言い分…いや、わからん。
序盤の意味の分からない事態に家族で協力して疾走するのは非常に面白かったんだが、最終的にはちょっと…なんか読む人を選ぶ着地点だなぁって感じですね。
長女の言い分はわかる部分もありつつ、ちょっと極端というか自己主張が強すぎて納得がしがたく、父親の行動は誰が読んでもちょっと意味わからない気がする…。
なので、個人的には終盤になればなるほど入り込めず…序盤が面白かっただけにちょっと尻すぼみ感。
家族、というものについて言いたいことがあるんだろうな、っていうのは…終始伝わってきて…
周たち家族の抱える問題について、長女のいいたいことはわからんでもない…。
でも…いや、やっぱりその父親はだめだろう、って思っちゃった感じかなぁ…。
長女の言い分に納得感のある方、家族の在り方に違和感がある方は最後まで爽快かも??
・町田そのこ「宙ごはん」
・有川 浩「フリーター、家を買う。」
・瀬尾 まいこ「そして、バトンは渡された」
家族ってどこも違って大変だよね、ってあらゆる小説で思うよね