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読書感想『世にも奇妙な君物語 』朝井リョウ

なんだよ、なんなんだよ、結局こうなるのかよ

生活が充実しているような大人たちが何故シェハウスに住むのか…特集記事を書くため、潜入取材をすることにしたライターの女(シェアハウさない)
クールジャパン戦略によりコミュニケーション能力を調査される社会(リア充選挙)
園児たちの個性に関係なく、行事事で順番に活躍の場所を設けろと言われた保育士(立て!金次郎)
ネットニュース制作会社で記事作成に矜持を持ってる女(13.5文字しか集中して読めな)
あるオーディションに挑む俳優たち(脇役バトルロワイヤル)
日常の地続きのようでどこか奇妙な世界が展開する短編集。



タイトルを見ればほとんどの人がサングラスの大物司会者がストーリーテラーを務める某ドラマシリーズを思い浮かべるこの本は、えぇ、そのシリーズのオマージュとして朝井先生が一人で手がける短編集となる。
誰もが感じたことのある小さな疑問や、最近の世の中に萬栄するちょっとした違和感から大きく広げた世にも奇妙な世界が広がり、最終的にはそれらのわき役を演じた俳優たちが主役を目指して争う『脇役バトルロワイヤル』に繋がるという、短編集ではあるものの一冊を通して『世にも奇妙な』世界を醸し出すという面白い試みだ。
滅茶苦茶今っぽい話から、そこから大きく話を広げた極端な話、そしてどの話にも最後はあ、そこに落ち着くの?!という驚きがちりばめられた、めちゃくちゃ某ドラマっぽい構成で思わずニヤニヤしてしまう。
どれもこれも実際に映像化されてもおかしくないような話で、ついつい脳内でなるのはあのテーマ曲。
あはは、朝井先生も好きだねぇ~ってつい同志を見つけたような気分になりました。
まぁ、単話単話なのでいささかオチの弱さを感じた部分もありますが、全体的には読みやすくゾクッとする話からクスっとする話までお手軽に楽しめる一冊じゃないかと。
個人的には楽しく読めたかな?
うん、いろんな短編を読みたい方におすすめな一冊です。

こんな本もオススメ


・森バジル『ノウイットオール あなただけが知っている』

・芦沢 央『魂婚心中』

・三崎 亜記『バスジャック』

一冊でいろんなタイプの短編があると作家先生の力量に唸りたくなりますよね

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