カウンセリング・マインドを授業に取り入れてみる。
こんにちは。
日本語教師と産業カウンセラーをしています。ワカです。
前回、カウンセリング・マインドについて説明しました。
今回はカウンセリング・マインドをどうやって授業に活かしていくかを考えていきます。
教師と生徒の関係性
教師が一方的に教えたり助言したりするのではなく、生徒一人一人の個別性が尊重される。教師は生徒の自己資源(能力や知識、感覚、経験など)を活用し、それを十分に発揮できるようにする援助者。主体は生徒であるという関係性。
シンプルな受容
生徒の意見や考えに対して否定したり批判したりせずに話を聞く。生徒の発言に対して、うなずき、あいづちをする。笑顔で受け入れるなど。
「私はここにいていい」「受け入れられている」という心理的安全を感じることにより、自由に発言できる関係を築いていきます。…とはいえ、受け入れにくい場合もありますよね。
例えば
ある生徒が「授業やりたくない」なんて言ったら、どうしましょうか。
「そんなこと言わないでよ」って言いたくなる…けれど、そこは「うん」と受け入れる。それもその人の意見なのです。
自分にとって都合のいい意見は承認して、都合の悪い意見は承認しないというのは「無条件で肯定する」というカウンセリング・マインドに反します。
繰り返し
生徒が言った言葉の中で重要なキーワードをそのまま繰り返す。
それによって生徒は自ら発した言葉をもう一度、第三者の声で新たに認識することになります。
先ほどの例でいうと…
S:「授業やりたくない」
T:「うん。授業やりたくないんだね」
…こんな会話あり得ます?
こんなにきちんと言葉を返される方はびっくりするだろうし、
返す方も勇気がいるだろうと思いますが、本気です。
相手の言葉をそのまま受け入れて返すのです。
ただ、前回お話しした「自己一致」を覚えているでしょうか?
ここで自分を偽ってはいけません。
例えば「そんなこと言われて辛い」なんて傷ついているのに、自分の気持ちに蓋をして受け入れたふりをする。
すると、(あいつ、笑顔だけど裏で何を考えているか分からない、キモい)なんて思われちゃいます。
もし、違うことを思ったら…それも自分なんです。ここは正直に
T:「そんなことを言われると辛いんだけど…Sさんは授業やりたくないと思ってるんだね」
相手も自分も受け入れてあげましょう。
質問
カウンセリングでは、自分が知りたいから質問するのではなく、相手の自己理解を深めるために質問をします。
先ほどの例なら
「どうして?」ではなく
「そう思ったのは、なにか理由があるの?」です。
…微妙な違いですけど、「どうして」は相手を責めているようにも聞こえませんか?
自分はそうじゃないと思っているのに、あなたはなんで?!っていう感じ。相手の自己理解を深めるための質問なら「どこからそう思う回路が生まれたのか」の答えを相手が見つけることで自己理解を深めるんだというマインドが必要です。
そう考えれば質問の仕方は「どうして?」ではなく「どこからそう思うきっかけが生まれたのか?」という質問になります。
おさらい
ここまでをおさらいします。
S:「授業やりたくない」
T:「うん。私はそう言われて辛いけど…Sさんは授業やりたくないと思っているんだね」
S:「まぁ…」
T:「なにか理由があるの?」
こんなことを言われたらSさんは困っちゃって「なんでもないよ!」とか「ごめん、大丈夫」とか、まともに答えてくれないかもしれませんが、それならそれで。
先生は生徒の言ったことをきちんと受け止めているんだと感じてもらえたら、それでいいと思います。
まずはお互いにいい関係を作ることが大事だと思います。
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