頭で考えている余裕はない #168 脊髄反射
人は一人で成せることには限界があります。
そのため、より大きな目的を果たすために、目的を共有する人たちが集って組織を形成します。
企業も何らかの共通の目的を持った人材たちで構成された組織です。
しかしながら、個々が同じ目的を共有していても、それを実現させるための方法論は、それぞれです。
また、それぞれの能力も均一ではありませんし、それぞれに、長所もあれば、欠点もあります。
更に、目的を達成するための多岐に渡った要素が、企業の中に存在しています。
それらを統括して、成果を上げるための機能がマネジメントです。
企業を生物学で捉えてみます。
経営などのマネジメントのトップを脳、現場を指先として見なします。
普通の神経伝達では、何かを掴もうとした時、脳は脊髄を介して指先に指令を出します。
対して指先は、5本の指を連携させて、指令を受けたものを掴もうとします。
その時に、5本の指がお互いに勝手な動きをしてしまったら、指令に従うことは出来ません。
その意味でも企業では脳であるマネジメントトップが現場で起きている事象を一旦把握して、現場に最適な指示を出すことになります。
それでは、何事も、脳の指示に従っていたら良いのかです。
先程、指先を動かすには、脳が指令を出すといいました。
しかし、例えば、ロウソクの火に指先が触れた場合はどうかです。
指先で触れた熱い情報を脊髄を介して脳に伝達し、更に脳の指令を、また脊髄を介して指先に指示を出している訳がありません。
そもそも、それでは大やけどを負ってしまうかもしれません。
そのような緊急事態に対応するために、逸早く指先を動かすのが反射(脊髄反射)です。
指先の情報は脊髄に伝わり、脊髄が脳の代わりを務め、即座に指先に離す指令を出します。
この場合の指令は脳を経由していないので、無意識に指先を動かすことになります。
これは企業とて同様です。
確かに通常は、マネジメントトップからの指示を仰いで、各スタッフは行動しているのかもしれません。
しかし、例えば、災害時などの緊急事態ではどうかです。
ここで、判断や行動が遅くなれば、大惨事になる可能性もあります。
そのためリスクマネジメントの一環として、例えば、災害時であれば避難やAEDなどを活用した救助訓練などが実施されています。
しかし、それら想定外の緊急事態もないとは言い切れません。
それを考えると、日頃から漠然と指示を受けて行動するだけではなく、仮に自分だったら、どの様に行動するかを考える習慣も大切です。
企業によっては、スタッフに自分で考えて行動させるために組織形態をフラット型のティール組織にするケースもあります。
また、そこまで出来ないにしても、例えば、スタッフにエンパワーメント(権限委譲)する機会をつくることも必要なのかと思います。
最後に、ここでの脊髄反射とは、何も考えない、浅はかな考えで安直に行動を移すことではないことは理解しなければなりません。