マーケティングの基軸戦略 #169 製品戦略
マーケティングとは、自然と売れる仕組みづくりといえます。
そのマーケティング戦略を立案する上で、大切になるのが、[①何を]→[②誰に]→[③どうやって] の順序が大切になります。
まず、最初の[①何を]においては、自社独自の価値(コアコンピタンス)を具体化させる必要があります。
次に、その価値を[②誰に]対して提案すべきかを仮説で良いので設定しなければなりません。
そして、最後が[③どうやって]提案するのかを具体化させます。
そのための代表的なフレームワークがマーケティング・プロセスの最終局面となるマーケティング・ミックスの最適化です。
マーケティング・ミックスですが、各戦略のイニシャルをとって、4Pとも称されます。
1.製品戦略(Product)
機能、デザイン、品質、種類、特徴、ブランド、大きさ、重さ、パッケージなど
2.価格戦略(Price)
販売価格、割引・セール価格、支払い条件、取引条件、還元価格、価格条件など
3.流通戦略(Place)
販路形態、在庫、発送、代理店制度、立地、店舗形態など
4.プロモーション戦略(Promotion)
販売促進、広報、広告など
注意すべきは各戦略を個別に推進するのではなく、ミックスとなっているところが大切です。
マーケティング戦略を立案する際には、製品戦略を基軸にすることが多くなります。
製品戦略は、製品実体の開発にとどまらず、環境分析(3C分析・STP・SWOT)や他の4P要素との整合性を考慮しつつ、以下の3層構造に基づいて策定されます。
① 製品の中核
製品には、顧客が得られる効果や利益であるベネフィットが中核として必要となります。
逆に、ベネフィットのない製品を顧客が購入することはありません。
企業としては、コアコンピタンスと言われる他社にはない独自の価値を製品やサービスに落とし込む必要があります。
よりコアコンピタンスを活かしたベネフィットのある製品を開発することで競合他社との差別化が可能となります。
② 製品の実体
製品の実体は、中核であるベネフィットを具現化する要素で構成されます。
既に存在する製品なのか、これから中核を元に製品開発するローンチなのかでも捉え方が違ってきます。
– ブランド:顧客との約束、製品の個性
– パッケージング:保護機能だけでなく、ブランドイメージの伝達
– 特徴:差別化要素、ユニークセリングプロポジション(USP)
– デザイン:機能性と美的要素の融合
– 品質水準:耐久性、信頼性、パフォーマンス
③製品の付随機能
製品戦略において、製品の中核や実体だけでは不足する部分を補完して顧客満足度を高める要素が付随機能となります。
この部分を延長、発展させたものが価格戦略、流通戦略、プロモーション戦略になるのかと思います。
– 設置・取扱説明
– 納品方法・在庫体制
– 支払方法
– 保証
– アフターサービス
マーケティング・ミックスである以上、製品戦略の概要が固まったら、他の4P要素である価格戦略、流通戦略、プロモーション戦略との擦り合わせを行います。
その状況において、製品戦略の見直しも含めて最適化を行います。
また、マーケティング・ミックスの最適化のためには、事前に実施していたターゲット市場の選定や環境分析をやり直す必要も出てきます。
この様に何度もプロセスを行き来しながらマーケティング・ミックスの最適化を実施して、マーケティング戦略を確立させます。
また、製品には、プロダクトライフサイクルがあります。
(1)導入期:売上も利益も稼げない状態
(2)成長期:売上も利益も高まり出した状態
(3)成熟期:売上も利益も安定した状態
(4)衰退期:売上と利益も低迷した状態
そもそも新製品が導入期から成長期に進める保証はありません。
むしろ、導入期で撤退を余儀なくされることの方が多いかもしれません。
また、成長期を経て、成熟期に入ったとしても、いつかは衰退期に入ることを覚悟せねばなりません。
そのため企業が事業規模を維持、拡大するためには、複数の製品を持つ必要性があります。
しかしながら、各製品に投じる資金などの経営資源は限られています。
そのために各製品が、プロダクトライフサイクルのどのフェイズにあるかを把握して、どの様な投資を行うべきかを、市場成長率と市場シェアによって大きく4つに分類したのが、プロダクト ポートフォリオ マネジメントです。
何事も同様ですが、理論は、過去の傾向から導き出されたものであり決して万能ではありません。
このプロダクトライフサイクルとて同様で、製品によって、10年のものもあれば、50年、100年のものもあります。
また、それぞれの期の長さも製品によって異なります。
大切なのは、この過去の理論を利用して、実際の環境変化にどのような最善、最適なマーケティングミックス策を実施することができるかなのかと考えます。