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ウサギとカメの教え #129 自己観照

能力とは、持ちえたスキルではなく、それを意識して発揮してこそなのかと思います。

イソップ寓話やラ・フォンテーヌが書いた寓話詩にも所収されている物語にウサギとカメがあります。
日本では、童謡にもなっています。

もしもし カメよ カメさんよ
世界の内に おまえほど
歩みの のろい 者はない
どうして そんなに のろいのか

なんと おっしゃる うさぎさん
そんなら おまえと 駆け比べ
向こうの 小山の 麓まで
どっちが 先に 駆け着くか

物語では、圧倒的に足が速いはずのウサギがカメに負けてしまいます。
ウサギですが、自分の足の速さを過信して、途中で一眠りしたまま、寝過ごしてしまい、カメに抜かれてしまうのです。
結果的に足の遅いはずのカメが、その歩みを止めなかったことにより勝つ訳です。

この物語では、負けたウサギからは謙虚になることの大切さを、勝ったカメからは努力し続けることの大切さを伝えたかったのだと思います。

また、このウサギとカメには、負けウサギという続きの物語があるようです。
のろまなカメに負けてしまったウサギは、仲間たちから恥晒しと罵られ、村を追われてしまいます。
しかし、オオカミが、自分が住んでいた村のウサギ達を狙っていることを知ります。
そこで、知恵を使ってオオカミを撃退して、村の仲間からの信頼を取り戻すという内容です。

ここでは、一度の失敗で、自分の存在意義を見失うことなく、次に何をすべきかを教えてくれているのかと思います。

経営の神様とよばれる松下幸之助氏が残された言葉に自己観照(じこ-かんしょう)があります。
自己観照は、一般的な四字熟語ではなく、松下幸之助氏の造語であり、その多くの書物の中に登場します。

「自省の強い人は、自分というものをよく知っている。つまり、自分で自分をよく見つめているのである。私はこれを自己観照と呼んでいる。」
「自分で自分を、あたかも他人に接するような態度で外から冷静に観察してみる、ということです。いいかえると、自分の心をいったん自分の外にへ出して、その出した心で自分自身を眺めてみるのです。」

結局は、自分を知らない事による精神的な弱さが結果を悪い方向に傾かせてしまいます。
その自分の弱さと向き合い軌道修正する作業とも言える自己観照は、自分自身が成長するために必要なことであるはずです。

現代の環境は、変動的で不確実性あり、さらに複雑で曖昧な時代だといわれています。
スキルが高いからと現状で満足していて許される時代でもありません。
また、なかなか成果が出ない、一度や二度の失敗から自暴自棄に陥っていても仕方がありません。

日々の習慣として、如何なる状況であったとしても、カメの様に、諦めずに、努力し続けることが大切です。

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