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【実食レポ】 「両口屋是清」(愛知県名古屋市) 旅まくら・二人静

和菓子について調べ始めると、お店の名前や和菓子の種類など知らずにいただいていたというお菓子が、思った以上にあることに気がつきます。
両口屋是清(りょうぐちやこれきよ)さんの「旅まくら」もそんな一品でした。

両口屋是清さんの創業は、寛永十一年(1634年)。名古屋の有名な老舗ですね。

大阪の菓子司・猿屋三郎右衛門が尾張藩用菓子製造のため召され、那古野本町に開業したのが始まりと記録に残されています。

貞享三年(1686年)には第二代尾張藩主徳川光友公から直筆表看板「御菓子所両口屋是清」をいただきました。

両口屋是清


「二人静」(885円)と「旅まくら」(673円)を購入しました(2024年9月現在)


旅まくら8個入り

noteを初めてすぐ「どこまでが和菓子? 赤飯は?」の記事を書きました。
そのなかで和菓子の分類をまとめましたが、名前を聞いても何かわからないと思っていた「茶通」。
このお菓子が「茶通」でした!!(そうだったのかぁ!…心の叫び)

その茶通ですが、ちゃんと説明した公式なページが見つからず…。
小麦粉、砂糖、卵などを練り混ぜて、餡を包み、焼いて作る焼き菓子。表面に胡麻をつけて、鉄板に押し付けながら焼くのが特徴。みたいな感じです。

茶通でわりとよく見るとのは、抹茶入りでグリーンの丸い「おやき」のようなお菓子です。たしかに表面に焼き色がついていてゴマがのっていますね。


表面の焼き色と胡麻の風味、中のこし餡がよく合う

「旅まくら」は、1950年に愛知国体開催の際に昭和天皇・皇后両陛下に献上するために誕生したお菓子なんだそう。

意匠は、昔のかためで嵩高い枕みたいなイメージです(笑)

原材料は、砂糖(国内製造)、小豆、小麦粉、水飴、卵、還元水飴、胡麻、植物性油脂(大豆を含む)。
北海道産の小豆を使用しています。


素朴で美味しい

表面がパリッとしていて、なめらかな小豆の美味しさがしみじみするとともに、ふとゴマが香ります。

そうかぁ、これが茶通なのか(←うれしい)


二人静は、紅白の落雁です。20個入りでした

丸く組み合わせた紅白の落雁が、キャンディのように包まれた「二人静」は、お茶やコーヒーにちょっとつまむのにぴったりサイズで、あると嬉しいお菓子でした。

缶入りなどもありますが、パウチタイプは気軽に購入できます。

原材料は、和三盆等(国内製造)、粉糖/着色料(赤102)です。
徳島県産の和三盆が使われています。

それではあらためて落雁とは??

落雁という趣きのある菓銘には諸説あります。

落雁は、昔は「らくかん」と称したようです。菓子自体は中国からの伝来といわれ、名の由来についても、中国の「軟落甘(なんらくかん)」という菓子が、日本に伝来してから「落甘」と略して呼ばれるようになり、さらに「落雁」と書くようになったとの説があります。

また、江戸時代文禄年間(1592年~1595年)の頃、米の粉を四角に固めて黒ゴマを散らした菓子を時の帝に献上したところ「白山の雪より高き菓子の名は、四方の千里に落つる雁かな」との御製を賜ったことから、以降、「落雁」と呼ぶようになったという説もあります。他に越中井波の瑞泉寺を開いた綽如(しゃくにょ)上人が北陸に出向いたとき、雪の上に雁が降り立つ様子を見て命名したという説。また、蓮如(れんにょ)上人が石山寺にて近江八景の瀬田あたりに雁が降りるところを見たてたという説。加賀藩三代目前田利常が指示して意匠させて後水尾天皇に献じたところ賜った菓銘であるという説などがあります。

全国和菓子協会

落雁と打物/押物の関係がイマイチわからないんですが…
落雁は、打物/押物に含まれます
でも、落雁という名前が別にあるということは、何か理由があるはず??

集英社の国語辞典の「落雁」には、
「干菓子の一つ。糒(ほしい)を石臼で引いた粉に砂糖を加えて型に入れ、焙炉(ばいろ)で乾燥したもの。大豆・小豆・麦などの粉を用いることもある。」
と書かれていました。

打物/押物は、砂糖以外に、もち米や寒梅粉などを混ぜて型に入れて作る物です。

もしかしたら、打物/押物は製法の分類で、落雁はお菓子の名前なのかな。
和菓子はさまざまな分類方法があって難しい…
どなたか教えていただけると嬉しいです。


半分サイズでいただけるのもいいのですよね

お味は和三盆の優しい甘さが広がって、スッと溶けます。

茶花「二人静」の丸い白いお花を模しているそうで、究極のシンプルさで、可憐で可愛らしい意匠です。
来客時にお茶にちょっと添えてもステキ。味が嫌いな人はいないと思います。


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