「私が書きたいもの」
あらゆる音から遮断された静寂
人肌の向こうが透けて見えるほど透明
喜びも悲しみも欠片ほども感じさせない無機質
極めて正確に時計は動くが現在時刻は不明
太陽か月か見分けがつかない空
いくら歩いていても変わらない景色
誰も会話せず意識だけが流れていく世界
ここでは人も人形も見分けがつかない
名前は意味を持たない
朝と夜も判別できない
人は歩道を歩いているように見えるが
空を歩いているのかもしれない
血が通っているようで通っていない
すべてが不明瞭で脆くて危うく
あるものとないものの区別がつかない
そういう世界を私は書きたいのです
#詩のようなもの
#私が書きたい小説世界