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分からないものを避ける傾向について~<脱線話:ルビを振る?振らない?>

 最初にXのこの投稿を読んで欲しい。


 翻訳家の鴻巣友季子さんのツイートだが、要するに読んでいる本に読めない漢字や解釈できない表現が出てくるのを嫌う傾向がどんどん強くなってきているらしい。私は最近の日本文学事情に疎いので何とも言えないが、ラノベを初めとする「読みやすい本」が好まれ、難しい本が疎まれる傾向にある気はする。
 もしそれが事実なら本を読む楽しみの半分くらい損していると私は思う。昔は読めない漢字やわからない表現が出てきたら辞典で調べた。ネットなんてなかったから辞書は必携だった。調べてわからなかった箇所が理解できるようになったとき本の世界が一気に広がった。その過程が楽しかった。今はネットがあるから調べるのは楽なはず。それなのに、難しいものを嫌って既知の漢字や表現だけで書かれた簡単な本だけ読むのは実にもったいないと思う。未知の領域を知る機会を放棄しているのだから。
 このツイートから、色々と考えさせられた。

 そして脱線してルビについて考える。
 ルビはふりがなとは違って振るかどうか明確な基準がない。もちろん、「心臓」を「こころ」と読ませるとか、筆者が意図して別の読み方をさせたいときは必須だろうが、難読漢字のルビは微妙だ。基本的には、常用漢字以外と固有名詞に振るらしいが、実際のところ曖昧である。ちなみに私は拙作でルビを一切振らない。面倒くさいからである(笑)。小説の新人賞などの応募では、初出の人物の名前にはルビを振るとか、難しそうな漢字にはルビを振るとかしないと内容以前の問題で速攻で落とされるという話もあるから、私の場合まずこの時点でアウトだったのかもしれない(笑)。これから応募される方はルビに気を遣ってもらいたい。

 一方でルビを振らない方が良い場合もあると思う。
 例えば、貴志祐介に「天使の囀り」というホラー小説がある。私はホラーが好きなので比較的彼の本を読んでいるが、この作品が一推しである。ただ買ったときは「囀り」がそもそも読めなかった。タイトルの意味が分からないまま、多分最後まで読んだと思う。後で調べてなるほどね、と思った。なぜ調べなかったかというと、漢字自体が非常に不気味で妖しくて魅力的だったのでイメージを崩したくなかった。他にも「嬲る」「蠢く」など視覚的に気持ちが悪い漢字はあえてルビを振らない方が雰囲気が出て良い気がする。最初の話に戻るが、今はググればすぐに分かるからね。

 noterさんの作品を読むと結構マメにルビを振られているのですごいなあと思ったりする。noteは特に面倒くさいので大変だろうと思う。
 さて、あなたはルビを振る派?振らない派? 
- 繰り返しますが、文学賞の応募においては、ルビは必要らしいのでご注意を。(そんなこと知らなかったのは私だけかもしれないが笑)

 

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