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空想

電線の様な針金虫が青年の頭上で息を潜める

ビリビリと生活に寄生してくるそれに

嘲笑れていると

青年は怯えた

昨日の震える様な豪雨のせいか

下水から濁流の様な巨人のゲロが青年の暮らす街を

這い巡った


なぜここの街の住民はノウノウと営んでいるのか

青年には理解出来なかった


背中が丸く

髪は伸びきり

青年はこの街を地獄の続きだと考えていた

きっと
前の私が惨虐なやつだったのであろうと

諦めた


チープな歩き様を
ハリボテの空想のせいにすることで
なんとか生きていた

そんなことだから
青年は巣に篭った

刻経ち
親父の葬式で外に出ると
電線は地下深くに潜り
この街の頭上には針金虫が一匹も見当たらなくなっていた

雨の季節が過ぎ
下水路も無口をきめこんだ

青年はもう言い訳をすることが
出来ないようだ

お天道様から隠れる術が
無くなったもんで

嗚呼

なし崩しだが

生きよう

生きよう

ひらひら

余裕のふりをして


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