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tty1015
激情 進化 特異点
ラプトルは走る
ビルとビルの間を抜けて
人間達を退け反らせながら
車を踏んづけては爪を振り回し
雄叫びをあげた
人間は逃げ惑う
ビルに登り
体勢を崩しながら
他人のヒールを踏んづけては
悲鳴をあげた
ラプトルは思う
恥ずかしいから
早く人混みを抜け出し
自分だけの巣に帰りたいと
人間は思う
恐ろしいから
早く誰かが
あいつを倒してくれないかと
ラプトルは暴れる
ふざけんな
ふざけんな
ふざけんな
ラプトルは泣く
僕はいつからこんな鉤爪が生えたのかと
牙が鋭くなったのかと
僕は悟る
自分はもう元には戻れないのだと
僕は諦める
このまま暴れて世界を壊そうと
僕は思う
硬い鱗を受け入れてほしいと
僕は願う
もう一度家族に逢いたいと
ラプトルは笑う
自衛隊に囲まれながら
ラプトルは空を仰ぐ
どこで僕は変身してしまったのかと
だだっ広い空はなにも応じてはくれない
本当はこんなことしたくない
僕はなに
僕はだれ
これからどうすれば
僕はもう撃たれて終わりだ
ラプトルなんか
大嫌い
人間だって
大嫌い
だって
僕をこんなにしたから
ラプトルは思う
嘘をついたと
僕は思う
嘘をついたと