フレックスタイム制と裁量労働制の違い
こんにちは、「WaCCa(ワッカ)の人」です。
今回は意外と勘違いされがちな、フレックスタイム制と裁量労働制の違いについて書いてみます。所謂、固定時間の勤務方法と比べ、何れの制度も労働時間の管理を労働者に委ねるという観点においては自由度の高い働き方である一方で、そもそも制度の性質が異なるものであるため、混同しないように注意が必要です。
適用できる職種などの違い
フレックスタイム制は職種などに限定されず、必要な手続きを踏まえれば誰にでも適用することができます。フレックスタイム制は、一定の清算期間内において定めた労働時間の範囲の中で、労働者が自主的に出退勤時間を管理することができる制度です。コアタイムなどを定めるケースもありますので、その範囲の中で自由で勤務時間を決める事ができる分、リモートワークとの相性も良く、併用して導入されている会社も多いと思います。
一方で、裁量労働制はそもそも適用できる職種に限りがあります。具体的には、専門業務型裁量労働制と、企画業務型裁量労働制という2種に分類ができますが、何れも限られた職種であったり、一定要件を満たす業務内容にのみ適用することが可能です。認められていない職種要件の従業員に対して、裁量労働制を適応してしまっていた場合、早々に是正が必要になります。
以下、東京労働局から出ている裁量労働制の適切な運用に関しての資料は参考にして頂ければと思います。
労働時間、給与計算上の管理方法の違い
こちらも混同されがちですが、労働時間の管理方法についてもそもそも異なります。フレックスタイム制は前述の通り、一定の清算期間内での勤務時間が決まっているため、実労働時間がその時間を超えた場合は、その分の給与を支払う必要がありますし、逆に満たない場合は控除が発生します。
一方で、裁量労働制は、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ労使間で定められた労働時間分働いたとみなして給与が支払われるため、実労働時間がみなし労働時間より長かろうが、短かろうが給与は変わらない、というのが大前提です。そのため、働いた時間ではなく、働いた対価としての成果をより求めやすい勤務体系だと思います。
導入方法の違い
また、フレックスタイム制と裁量労働制の導入方法の違いにも少し触れておきます。フレックスタイム制は、清算期間を1か月を超える期間に定めない場合、就業規則の明記と労使協定の締結で導入ができます。裁量労働制は少し煩雑で、「専門業務型裁量労働制」の場合は労使協定を締結した上で、労働基準監督署に届け出が必要となります。また「企画業務型裁量労働制」の場合には、労使委員会を設置し、労使委員会での5分の4以上の賛成による決議、同決議の労働基準監督署への届け出、対象労働者の同意などが必要で、なかなか骨が折れる手続きが必要となります。
最後に
フレックスタイム制と裁量労働制は明確に制度として異なるものであることは、ご理解頂けましたか?
裁量労働制は「みなし労働時間」の考え方もあり、残業代を払わなくて良い制度であることが一人歩きして、未払い残業の温床として悪用されるケースも過去ありました。適正な運用がなされていることが大事なので、会社側の立場としては定期的な自主点検をすること、また労使間のトラブルにならないよう、社員側からの声をしっかりと受け止めることができる体制を整えておきましょう。
ということで、今回はこんなところで。
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それでは!
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執筆 WaCCaの人
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