東京国際映画祭日記 DAY3
今日で3日目。
そろそろ疲れが溜まってきた。眠い。
9時に起床し、10時からTOHOシネマズ日比谷で『窓辺にて』を鑑賞。
日本の恋愛映画の旗手である今泉力哉監督の最新作で、稲垣吾郎との初ダッグ作品!
2018年の東京国際映画祭で今泉監督が『愛がなんだ』、稲垣さんが『半世界』(阪本順治監督)でそれぞれコンペ部門に選出されたことをきっかけに2人が出会い、この映画が生まれたとのことで、否が応にも期待値は高い。
そしてワールドプレミアで舞台挨拶付きということもあり、広い場内が満席だった。
<あらすじ>
フリーライターの市川茂巳(稲垣吾郎)は、妻の浮気に気づいているが、浮気に対して怒りが湧かないことに思い悩んでいる。そんな中、文学賞の取材で久保留亜(玉城ティナ)と出会ったことをきっかけに、市川は自分の感情と向き合っていくことになる…。
まさに今泉作品の醍醐味が詰まった、新たな代表作の誕生だ!
登場人物2人の会話をじっくりと映し続けることで、言葉によって徐々に変化していく登場人物たちの感情が観客に伝わり、物凄く心が動かされる。
笑っているのに、思わずハッとさせられるような台詞もあり、自分自身のことについて、くよくよと悩んでも良いのだと肯定してもらえた気持ちになった。
今泉監督は、どんなにちっぽけな悩みでも、真剣に取り組んで映画を作ってくれるから、とても信頼のできる監督の1人だ。
あと、稲垣吾郎さんの佇まいが物凄く素敵!
当てがきだったということもあり、どの台詞も本人の口から発せられた言葉のように感じられた。
大人の余裕を醸し出しつつも、人の気持ちにジャッジをせず、寄り添うことのできる魅力的な人物像だった。
稲垣吾郎さんを名優・笠智衆に例えている人がいて、観客を圧倒的に安心させる存在感を持つ役者という意味で、通じる部分はあるのではないかと思った。
11月4日から劇場公開もされるので、ぜひ映画館で多くの人にご覧いただきたい!
あと、初めて稲垣吾郎さんを生で見たが、カッコ良すぎるぞ。
続いて2本目もコンペ部門の『カイマック』。
『マジカルガール』(14)でサン・セバスチャン国際映画祭最優秀作品賞を受賞したスペインのカルロス・ベルムト監督の最新作。
日本では、『シークレット・ヴォイス』という作品がNetflixで配信されている。
<あらすじ>
孤独なゲームデザイナーのフリアンは、パーティーの会場でボーイッシュな少女ディアナと出会う。フリアンはディアナに徐々に惹かれていき、幸せな日々を過ごしていくが・・・。
静謐で情熱的なラブストーリーかと思いきや、まさかの展開へ。前半から伏線は貼られていたので、後半の展開はある程度予想出来ていたが、予想出来ていたとしても、心の準備は間に合わなかった。まだ上映回が残っているので内容は伏せておくものの、現代に潜むモンスターに飲み込まれてしまった人の話でもあった。
ヒロインの女性がとてもキュートで、決して劇的ではない二人の恋の歩み方は素敵だった。他の人の感想が気になる映画だ。コンペ部門で、これはどう評価されるのだろう。コンペは難しい。
上映が終わって17時に外へ出ると、すでに暗くなっている。どんどん日が短くなってきた。
さすがに疲れてきて、集中力も途切れたので、有楽町駅前のPRONTOでコーヒーを飲む。17時半からバータイムが始まったので、勢いでビールも頼んでしまった。夕方のビール最高!ボロネーゼも激うまだった。リラックスできた気がする。
そして18時半から丸の内TOEIでコンペ部門の『カイマック』。『ビフォア・ザ・レイン』(94)でヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝いたミルチョ・マンチェフスキ監督の最新作はブラック・コメディ!世界的監督の最新作をワールド・プレミアで見ることが出来るのはすごく嬉しい!
<あらすじ>
北マケドニアの首都スコビエの集合住宅に住む2組のカップルは、それぞれ悩みを抱えながら生活をしているが…。
めちゃくちゃ面白かった!
単純に笑える部分もあったが、笑っているうちに、思わずゾッとしてしまうような場面も多く、物語の背景にある社会的な問題もしっかり描いた強い作品だった。
それぞれのカップルの、多種多様な愛の形も素晴らしかった。物語の途中から、家の中に新たな人間が入ることで、カップルの関係性が徐々に変化していく様も非常に面白く感じた。
わざとらしい皮肉ではなく、笑いの背景にこっそり忍ばせるような皮肉の効かせ方も堪らない。
性描写も多かったが、露骨ではなく、面白さと綺麗が両立していた。
上映後の舞台挨拶では、監督のテンションが非常に高く、挨拶中にスマホで自撮りをするなど、とても楽しそうだった!
そして本日4本目はコンペ部門の『1976』。
女優として活動した後、監督へと転身したマヌエラ・マヌテッリの長編デビュー作。
<あらすじ>
1976年、ピノチェト政権下のチリ。裕福な医師の妻カルメンは、司祭からひとりの男性をかくまうように頼まれる。カルメンは了承するが、そこから彼女の日常は不穏に包まれていく…。
カメラが主演の女優を常に映し続けているため、彼女の、徐々に恐怖に侵食されていく心の揺れ動きが画面越しに強く伝わってきた。
また、音楽が効果的に使われていて、物語全体を不穏感で包み込んでいた。
先の見えない生活の恐怖に飲み込まれそうになりつつも、良心のためになんとか立ち上がる女性に心を動かされた。決して劇的ではないが、このような作品を日本で観る機会はほとんど無いと思う。貴重な作品だ。
本日はコンペ部門を4本。全くタイプの異なる4本で、これらをどのように評価していくのかが全く分からない。コンペは難しい。
『1976』や『テルアビブ・ベイルート』のように、戦争や政治を徹底的に描く作品もあれば、『窓辺にて』のように、1人の男性の悩みをとことん掘り下げる映画もあり、映画の主題は自由で平等なのだと感じさせられた。
明日は休養日、というより、外せない用事があるので映画祭には参加出来ない。金曜日に再び参戦!明日は身体を休めよう。
(休みすぎて、日記書く体力もなかった…期間を空けすぎないようにする)
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