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映画日記#18 『カルメン故郷に帰る』

今日はDVDで日本映画『カルメン故郷に帰る』を鑑賞した。
日本最初の総天然色映画(カラー映画)であり、脚本と監督は『二十四の瞳』などの名匠・木下恵介だ。主な出演者は高峰秀子、佐野周二、「宗方姉妹」の笠智衆。

浅間山麓に牧場を営んでいる青山の正さんの娘きん(高峰秀子)は、東京から便りをよこして、友達(小林トシ子)を一人連れて近日帰郷すると言って来た。しかも署名にはリリイ・カルメンとしてある。正さんはそんな異人名前の娘は持った覚えが無いと怒鳴るので、きんの姉のゆきは村の小学校の先生をしている夫の一郎に相談に行った。結局校長先生に口を利いてもらって正さんをなだめようと相談がまとまった。田口春雄は出征して失明して以来愛用のオルガン相手に作曲に専心していて、妻の光子が馬力を出して働いているが、運送屋の丸十に借金のためにオルガンを取り上げられてしまい、清に手を引かれて小学校までオルガンを弾きに来るのだった。その丸十は、村に観光ホテルを建てる計画に夢中になり、そのため東京まで出かけて行き、おきんや朱実と一緒の汽車で帰って来た。
映画.comより引用


めちゃくちゃ面白かった!
いきいきとした女性の開放感が、軽井沢の青々とした空と非常にマッチしていた。
田舎の閉塞感は昔から変わらないのだなと思いつつ、失われつつある連帯への郷愁も感じた。
一人ひとりのキャラクターの、良い所と悪い所を描く人間らしさの匙加減が絶妙だった。バカだけど憎めない、愛おしいキャラクターたちのコミカルな群像劇としても非常に見応えがあり、今泉監督作品に通じる人間の愛おしさが描かれていた。この映画は、何よりもテンポ感が素晴らしい。
開放的な女性2人が、田舎の閉塞感を打破していく様をダンスに投影させて、リズミカルな展開で物語を進めていた。
ハッと息を呑むほど美しいショットの数々で、人物の立ち位置と影の作り方が見事に決まっていた。
日本初のカラー映画がこの作品でなければ、もしかしたら日本映画の歴史は、もっと遅れていたのかもしれない。日本映画史上でも重要なマスターピースの一つであり、今なお色褪せない面白さに満ちた快作だった!

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