東京国際映画祭日記 DAY8
11/2(水)、東京国際映画祭最終日。気持ちの良い秋晴れだ!
名残惜しさはあるが、最後まで楽しみたいと思う。
本日1本目は、11時からTOHOシネマズシャンテでワールド・フォーカス部門の『タバコは咳の原因になる』を鑑賞。
『地下室のヘンな穴』(21)や『ディア・スキン 鹿革の殺人鬼』(19)などを世に送り出したフランスの奇才カンタン・デュピューの最新作は、まさかの戦隊ヒーローもの。今年のカンヌ国際映画祭でも話題をさらった作品が日本で最速上映される!
<あらすじ>
タバコの成分の名で呼ばれる5人のメンバー(ベンゼン、メタノール、アンモニア、水銀、ニコチン)で構成される”タバコ戦隊”は、地球を侵略しに来る怪人たちとの戦いの日々を過ごしている。
ある日、次の戦いに備えて団結力を高めるための合宿を行うことになった5人は、キャンプファイヤーで、それぞれ持ち寄った恐ろしい体験の話を始める…。
突き抜けたバカバカしさに笑いが止まらなかった。
正義や命、倫理観をあざ笑うようなくだらなさと、妙に教訓的な物語が非常に面白かった。
会場中が笑いに包まれていて、世界中の人と笑いを共有している感覚が、国際映画祭ならではだと感じた。
続いて2本目は、13時半からシネスイッチ銀座でユース部門の『セルヴィアムー私は仕えるー』。
『モニタリング』(17)のルート・マダー監督の最新作で、今年のロカルノ国際映画祭コンペティション部門で上映された作品だ。
<あらすじ>
舞台はオーストラリアの裕福な家庭の子どもが集まる全寮制のカトリック学校。
シスターは、生徒たちの信仰心が薄れている現状を憂いている。しかし、信心深くシスターのお気に入りのマルタは、シスターの期待に応えるためにとある行動に出るが…。
ラストにかけて猛烈に面白くなった。恐ろしいほど簡素な構図と、子どもが追い詰められていく心理スリラー展開。
時折挟まれるジャンプカットが圧迫感を増していた。エレベーターの使い方が見事だった。
そして3本目は15時過ぎからTOHOシネスイッチでワールド・フォーカス部門の『エドワード・ヤンの恋愛時代』を鑑賞。
台湾の伝説の巨匠エドワード・ヤンの作品が4Kリストア版になり、今回の映画祭で久しぶりに映画館で上映が行われるとのこと。
初めてのエドワード・ヤン作品なのでとても楽しみにしていた!
<あらすじ>
1990年代、急速な発展を遂げた台北に暮らす裕福な若者たちの、一筋縄ではいかない辛口群像劇が描かれる。
これは、面白すぎる。突き抜けている。会話劇としての面白さ、人を撮るショットの絶品さ、陰と陽の見事なコントラスト。すべてが素晴らしすぎた。
濱口監督の『PASSION』は、おそらくこの映画から大きな影響を受けているのだろうと思った。圧倒的に面白い。また観直したい。
そして、東京国際映画祭の大トリを飾るのは、東京グランプリ受賞作品の『ザ・ビースト』!
2回目の鑑賞だが、巧妙すぎる伏線の張り方に気づき、とても驚かされた。あとは、圧迫感を強めるような音楽の使われ方が非常に優れていた。
確かに、映画としての総合的なバランスはコンペ部門の中でも突き抜けているように思った。
ただ、どうしても後半が冗長に感じた。あえてドラマチックな展開を選択していないのだろうが、カタルシスに至るまでが長すぎるように思った。グランプリには大納得。圧巻の映画体験だから、ぜひ多くの人に届いてほしい。
東京国際映画祭も、本日で終幕。
21年の人生の中で、最も映画にのめりこんだ、濃密な時間だった。
この経験を自分の将来に生かして、映画に関係した仕事に就き、ゆくゆくは自分で映画を作りたい、といった思いは当然ある。
しかし何よりも、自分は映画を観ることが大好きなのだ。面白い映画を観て、心が震えて、その感動を自分でかみしめたい。
今日はこの映画を観ることが出来たから、明日も生きていける、そんな日々の積み重ねが、今の自分の人生なのだ。
映画に救われた者として、映画の魅力を、自分の言葉で、誰よりも自分自身に届けたい。
自分がこれからも生き続けていくために、映画を観ていく。
もっと面白い映画を観せてくれ。
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