【シリーズ8】なぜワーママや主婦は”起業・独立”に憧れるの?キラキラ起業家になったA先輩を覗き見して考えたこと
ワーママや専業主婦が、起業やフリーランスに憧れる理由を考えるシリーズの第8弾です。前回の記事では、約15年間見てきた「女性起業界隈の歴史」をお伝えしました。
さて、私は自己投資系セミナーの苦い経験から気づいたのです。「私は自分の価値や進むべき道を、人に教えてもらわないと分からないのか?」と。
自己投資が自分の人生を豊かにしてくれると思い込んでいたけれど、単に自分を急かしていただけだったのかもしれない。そう思い始めました。
今回は自己実現系セミナーの受講後、私がどう動いたかをお話させてください。
SNSの断捨離で現実と向き合う
自己実現系セミナーのあと、最初に手をつけたのがSNSの断捨離でした。「ビジネスチャンスがあるかも…」なんて期待しながら続けていたインスタのアカウントを、淡々と2つ削除。ついでにフォローしていた「女性起業家」たちも一斉にアンフォローしました。
女性起業家のインスタのリールを見ていると、「何か始めなければ」と追い立てられる感じがしませんか?会社員して、育児して、家事して、普通の毎日を送っている自分がダメなように感じませんか。
私は、インスタを見て「自分は何もなし得ていない」と自己嫌悪に陥ることに嫌気がさし、同時に起業女性たちにも「自由で贅沢な日常を見せ、煽り、何がしたいの?」と思うようにもなりました。
アンフォローは想像以上に爽快でした。
私がSNSを始めた理由は、「何かを変えたい」「何かを得たい」と思ったから。でも頑張れば頑張るほど、フォローしている人と自分と比べて落ち込んだり、フォロワー数やいいねの数に振り回されたりする日々。本当に自分が望んでいるものが見えなくなっていました。
自己実現系セミナーでは、Xで「毎日3回は投稿しましょう」と教わり、律儀に実践もしていました。だけど、ある日突然気づいたんです。「そもそも私、つぶやくこと自体に全然興味ないじゃん!」と。たった140文字でしか伝えられないことも、見始めると時間が溶けていくタイムラインも、他人の強い意見や主張が多い空間も、どれも好きになれない。「無理やり投稿するのはやめよう」と決意した瞬間でした。
実は、音声配信も1年ほど続けていました。2人目の育休中のときです。人生最後の育休中であるからには、何が新しいことを始めなきゃと焦ってたんです(いま改めて考えると、この考えすらも洗脳だったように思う)。産後ボロボロの身体でなんとか音声配信を毎日やり、フォロワーも少しずつ増えていました。ですが冷静になって自分と向き合ううちに「これ、私に必要?」と疑問が湧いてきました。
もちろん、音声配信することが悪いとは思っていません。自分に必要で楽しいと感じるならやればいい。でも私は2児を育てながらフルタイム会社員として働いていく覚悟を決めた今、配信する意義を感じなくなったんです(アカウント削除済)。
そして、リスナーとして聴いていた音声配信も、一度リセットしたいと思い、厳選することにしました。配信者の声が脳内にずっと残っているあの感じ。その感覚をとにかく払拭したい。物事を他人の思考で決めたくない。自分で決断したくなったんです。
こうしてSNSの断捨離を進めていくうちに、気づきました。「私は頑張りすぎてたんだな、背伸びしてたんだな」と。
何者かになろうとするより、他人を羨むより、自分自身と向き合う方が、よっぽど実りある人生になるんじゃないかと思うようになりました。
そんな中、noteだけは手放せませんでした。その理由はシンプル。「好きだから」です。noteは私にとって娯楽のひとつ。映画が好き。電車が好き。ショッピングが好き。それと同じように、私にとってnoteで文章を書くことはただただ楽しい時間です。文章を書くことは素人ですし、もっと上手に表現できる人はいるでしょう。noteの収益もありません。だけど子供から少し離れて、一人時間を使って文章を書ける休日が至福の時間です。
そういえば、幼いころから祖母との文通が好きでした。断捨離をして自分と向き合い思い出したのは、書くことが好きだったということです。
他人の人生を覗いて落ち込むのは、自己否定と同じ
言わずもがな、ワーママとして日々の時間は限られています。仕事、育児、家事に追われる中で、自分のための時間なんてほんのわずかしかありません。本当に、ほんのちょっとです。
その貴重な時間を使って、女性起業家に憧れ、高額セミナーを受講することが自分にとって役立つことですか?
どうしたって、隣の芝生は青く見えるものなんです。
まずは1週間、SNSから浴びせられる「会社員なんて時代遅れ」「起業こそが自分らしく生きる道」のシャワーを絶ってみることをおすすめします。私は情報を断ったことで、自分の時間、思考をを取り戻しつつあります。それは肩の荷が下りたような解放感にも似ています。
会社員だって素晴らしい選択です。何よりその選択をしたのは他でもない、自分自身です。
会社員として働くことを否定したり、軽視したりすることは、これまでの自分の決断を否定することに繋がりませんか?それは自分で自分を傷つけているようなものではないでしょうか。
自分の選んだ道に価値を見出し自信を持つことこそが、自己肯定感を高め、幸せな人生を築くための第一歩じゃないかなと、今の私は思うのです。(次回に続く)
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