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【詩】糸

濃紺のセーターの糸がたらりとほころんで
ひゅるりと振りほどいた矢先には
くずおれた空しさちいさくあらわれた

わたしの後ろ暗さがいっそう嵩じても
今度はほつれが毛玉のようにかたまって
誰かをなぐさめるための毛毬にでも
してくれたらよかったのに

やわらかな青ができあがるまで
わたしはほつれた糸にあこがれつづける

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