見出し画像

【詩】傘の散文詩

紅い傘が向かい風になびいた矢先に二人で強く握りしめたものだから、彼女の掌は熱くたぎり立った。

わたしを雨に晒さないように、布地と骨に巻き込まないように、とせめてもの肩代わりだった。

彼女が濡れるのをものともせずにいられたのはわたしに密やかな衷心をせがんだからだろう。

風雨の横恋慕はいまだに果たされてはいない。

いいなと思ったら応援しよう!

voyant(まみえる人)
よろしければサポートお願いします! 

この記事が参加している募集