人に甘えること
皆さんは、周りの人に甘えることはできますか?
私は、どちらかと言うとあまり上手に人を頼ったり、自分ができないことをお願いすることが苦手です。
先日友達に数年前私が精神的につらかった時期、
『けいこちゃん大丈夫?』って聞いてくれたのだけれど
私の返事は『ありがとう・・大丈夫』それ以上言わなかったのだと・・
友人として悲しかったって。
別に強がっていたわけではなく、彼女を信頼していなかったわけでもなく、条件反射のような「大丈夫」は私の癖だと思いました。
その言葉を友人から聞かされた時、弟と似てる・・・と思いました。
私はいつも、弟に、「もっと他人に甘えればいいのに!ほかの人に頼っていいんだよ!」
弟がこのALSという病気になって、まだそれでも普通の生活を続けながら、仕事もしていた時、私や両親が心配して
『大丈夫?どうしたらいい?』何度聞いたことか・・・
でも弟の口から出てきたのは、『大丈夫』だけでした。
なすすべがなく悲しい気持ちだったことを思い出しました。
その後病気が進行し、病院や、施設にもお世話になることになって、弟のライフスタイルの変化の一つの課題は『甘える』ということだったかもしれません。
「人に甘える」「甘えられる自分になる」ということが出来なくては、生きていく事ができない病気です。
出来れば人に頼らず、自分で解決したいことは多いはずだけれど、そこを変えなければなりませんでした。究極の甘えが必要なんです。
ごはんを食べる、
おやつを食べる
水を飲ませてもらう
かゆいところがある
暑い、寒い、何もかも・・・遠慮していたら生きることができませんでした。
そしてこの病気を克服したいと思っている弟には遠慮を捨て、できないことをお願いすることがとても大切でした。
幸い、看護師さんも、介護の方も、リハビリなどのスタッフさんも、友人たちも、誰も嫌な顔などせず、弟に親切にしてくれました。
「遠慮ばかりしないで、なんでも頼んで!」と言ってくれました。
ただ弟は、慣れていないためか、人に迷惑をかけるのを嫌がりましたので、忙しそうなスタッフの方たちに、家族が置いてきた、プロテインや、体の元となる食べ物を食べさせてもらうこともなかなかできなかったようでした。
少しずつ「俺らしく遠慮しながら甘えてみる・・・」と言いました。
どの人にも『ありがとう』『すみません』『悪いけど・・』必ず、そう言っていたように思います。
少しでも快適に、治癒に向かうように毎日私や両親が、なるべくそばにいるようにしていましたが、そこは身内、特に両親には遠慮なしに文句を言ったり、愚痴をこぼしていたようにも見えました。唯一の本音を漏らすところだったのでしょう。
ところが一番愛情をかけてくれていた両親には一度も感謝の言葉をかけたことを見たことがなかったので、私的には、『一回くらい両親にもありがとうの一言ぐらい言えばいいのに・・・』と思っていました。
後になって気が付いたんですが
弟の著書の『生命あふるる日々』の最後のページの一番最後の『special thankus』
両親にたった一言
『いつもありがとう』で締めくくってありました。本の締めくくりが両親へのありがとうなのです。
もしかしたら、この本で弟が一番伝えたかったことはこの一言だったのかもしれません。
本を書き上げ、たくさんの言葉がちりばめられた本ですが、生んで育ててくれ、最後まで愛をくれた両親に対して最大の感謝をささげた一言なのかもしれないです。
~人はけっして一人では生きられない。~
必ず誰かの支えが必要で、たくさんの人の力を借りながら、生きている
きっと弟はこの病気になって、今までにないだけ人を頼り今までにないだけ人の愛を感じ、一生分の『ありがとう』を伝えたのだと思います。
甘えるのも悪くないかもしれない。そして本当のありがとうを伝えてみるよ・・・