「苦集滅道」四つの真理
ボイストレーナーの浜渦です。私自身は無宗教なのですが、お釈迦様が最初の説法で説いたと言われる、苦集滅道(くじゅうめつどう、苦諦・集諦・滅諦・道諦)からなる四つの真理「四諦(したい)」は今日の私たちにも、大きなヒント与え続けてくれています。
…「人生の根本は苦しみ」これがブッダの人生観であり、苦諦は、四苦八苦の語源ともなっています。苦しみが出発…ポジティブ・シンキングな人には、ややもすると、敬遠されるかもしれませんが、苦集滅道の真理は、日本人にはとても親和性があると思いますので、ご興味がありましたらおよみください。
マインドフルネスも、道諦(苦しみを滅し、解脱・自由の境地への道)に至るための「八正道」の中に出てきます。私の肉体と精神の全てを使って「歌う」「教える」という行為にも大きな影響を与えています。
苦諦
「くたい」と読み、苦しみの真理のことです。世の中は苦しみにあふれています。生きること、死ぬこと、病気、老いること(これをもって四苦)、別れ、憎しみとの出会い、得られない苦しみなど、執着の尽きないこの世は全て苦しみである。
求めても得られない、愛する人と巡り会えても、いつかは別れなければならない。昔これを何かで読んだときは、えらくペシミスティックだと思いましたが、苦しみをしらなかったり、誰かにそれを任せていたり、何かでごまかしている部分もあったんだろうと、今は思います。
集諦
「じったい」と読み、苦しみの原因の真理のことです。苦しみが尽きないのは、人間が生まれながらにして持っている、心を乱す煩悩・欲望にあるというわけです。
苦しみの原因が欲であって、それは生まれつき…確かに欲のない人間はまずいませんよね。「欲を捨てたいという欲」もあります。座禅を組むと、色々なヒントを得られますが、色々なヒントを得ようという欲を持って座禅を組むと、苦しいばかりです…。
滅諦
「めったい」と読みます。苦しみの消滅の真理です。煩悩を根本から滅ぼし、欲望・執着から解放されれば、苦しみも滅ぼされてなくなる。
そんな境地に至ることは可能なのでしょうか。これは、決して「お金儲けをしてはいけない」などということではないでしょう。
道諦
「どうたい」と読みます。苦滅の境地に至るには正しい道(八正道)を修めなければ達することができないという、苦しみの消滅に至る道の真理です。
八正道とは、正しい見方、考え方、言葉、行い、生活、努力、正念(マインドフルネス)、精神の統一のことです。
歌うこと苦集滅道
歌うためには歌いたいという欲を捨てる
また捨てるための行動を取る
そして
生徒さんの悩みは私の悩み。
生徒さんの喜びは私の喜び。
欲を捨てれば解決法も見えて来る
…もちろん私のような、欲だらけの人間には、そんなに簡単には行きませんが。
ただ、たしかにモテたければモテたいという欲を捨てないといけませんよね…いきなり俗っぽい話申し訳ありません。しかし、そこに下心、欲が見え透いてしまうと、やはり伝わるものも伝わらないと思うのです。
今を機会に
現在世界中が右往左往しています。マスク2枚などと冗談みたいな話から、ますます右往左往しています。日本人は仏教の精神がとても似合うと思います。その心は慈愛といつも共にあるという共有だと思うのですが、過剰な自己責任論、新自由主義・格差社会化…バブル景気から平成の30年間で、私たちがなんとなく持っていたはずの苦集滅道の精神を忘れてしまっているのかもしれません。
自粛要請で自宅にいらっしゃる方、そうはいっても出かけなければならない方、色々しがらみで苦しいところではありますが、これを機会に、ちょっと苦集滅道のことを調べてみたり、座禅を組んだりということもやってみてはいかがでしょうか。
…仏教ど素人の私が厚かましくも語ってしまいました!あとは専門家・専門書に委ねます…