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【声のお仕事に繋がりやすくなる】ボイスサンプルの作り方

声優、ナレーターの有野優樹(ありのひろき)です!今回は『自分を魅せられるボイスサンプルの作り方』についてです!


【フリーになってから最初にやった事】

 僕は(現在フリー)一時期声優事 事務所に所属していました。所属していた時はオーディションの紹介があったり、レッスンがあったり、マネージャーさんに見ていただける機会がありましたが、何も繋がりがないままフリーになってしまったので

 「そういう(オーディションやお仕事)情報はどこから得たら‥」と悩んでいました。いくつかやったことがありますが、まず最初にやったこと。これがまず一つ目の大失敗でした。

 『声優 オーディション』と検索作エンジンで選べ作品ごとのオーディションを受けたことです。

 片っ端から受けにいきましたが、誰も怪しいものばかり。出演させてあげる代わりに出演料を払いなさい、出演作品を何枚買ってくださいというものばかり。

 次は『人脈を作ろうと交流会に参加』しました。これも失敗でしたね。時間がかかる割には見返りが少なかったからです。そこからおもいたちました。

 「こんなことばっかりしてないで、ちゃんとしたボイスサンプルを作ろう」と。

【原稿を作った方が良い2つの理由】

 ボイスサンプルの原稿は調べるとたくさん出てきます。最初はそれらの原稿を読み上げてボイスサンプルにするのもいいとは思いますが、原稿は自分で作った方がいいです。

 1.自分の良さを出せるから

 2.その原稿(ネットのフリー原稿)は誰かが使っているから

 この二つの理由があるからです。1は日々の研究で探していくしかありません。僕がやっていた研究は、とりあえずボイスサンプルを色んなパターン収録し(テンションの高いもの、部分的にテンションが高いもの、フラット、落ち着いた話し方、ドキュメンタリーのようなかっちりしたもの、怪談番組のような怖さのあるものなど)先輩、先生、友達、身内、SNSに公開、営業先の人など100人には聞いていただきましたね。

 自分に向いていそうな系統がわからない場合はまずここからはじめ、統計をとり、評判の良かったものはさらに高めていき、評判の悪かったものは捨てていきます。

 このとき、注意しなければならないのは『聞いていただくということは、相手の時間を奪うことになるので、“聞いてください!そして感想ください!”と簡単に言わないことです。』

 相手の方も、予定やお仕事があり合間を縫って聞いてくださいます。なので、聞いていただける関係性が構築されていないのであれば、まずはそこからスタートしてください。

 自分がやりたい!と思っていることが向いていないこともありますし、これはちょっと‥と思っているものが向いている、似合うと言われることもあります。

 『やりたいことと、出来ることを理解する』

 このギャップを埋めていき、だんだんと自分に合ったボイスサンプルになっていきます。

 2の理由。僕は常に意識として「比べられない工夫」をしています。ネットにあるフリー原稿は、今自分が考えているのと同じようにどっかの誰かが使っている可能性があります。同じサンプルだと比べられてしまうので、相手の方がうまかった場合自分には“下手”という評価がついてしまいます。自ら進んで下手というレッテルを貼られにいく必要はありません。


 「こういう案件がありまして、こんな声のイメージなんですけど有野さんのボイスサンプルを候補としてクライアント様に送っていいですか?」と、ご連絡をいただけることがあります。

 この“思い出していただくこと”が大切なんです。比べられる土俵に乗っかってはいけません。

 そして、プロデューサーやディレクター目線に立ったときに『有野優樹という声優を知ったときに、どういうお仕事をお願いしたいか?』を考えて作ります。


 自分のことなので、視点を切り離して客観的に見ることは難しいかもしれませんが、まずは聞ける人に「どんなものが向いているかな?その前に今のレベルどう思う?」と、聞いていくのもありだと思います。ボイスサンプルは、そういった自分の声の調査から始めてみると良いものができるのではないかと思っています。


【BGMは有り?無し?】

 結論、絶対にあった方がいいと思います。しかし、条件があります。『セリフや読みにあっているBGMはあった方がいい』です。

 理由は後ほど詳しくお話ししますが、BGMがあった方が媒体(企業VP、CM、テレビなど)のイメージがつきやすくお仕事が決まりやすくなります。

 ただここに関しては人により答えが違います。ディレクターさんや監督さんだと「BGMは要らない、声だけ欲しい」というお声が多い気がしますね。声優・ナレーターの先輩、先生は「あった方がいい」という答えが多い。なのので、どちらも用意しておくといいかもしれません。

 追加の話になりますが、『YouTubeなどいつでも自由に聞ける媒体と、データ両方持っていた方がいい』です。ダウンロードするのに時間がかかるので、すぐに聞けるYouTubeのようなものがいいという場合もあれば、クライアント様に送る関係などからデータで欲しいという場合もあるので。


【ボイサンは声を作らない】

 ボイスサンプル作りが目標になっているような‥と、いう場面にまぁまぁ遭遇します。ボイスサンプルはあくまで、お仕事に繋げるための“道具”なので、ボイスサンプルを作ることが目的ではありません。

 SNSなどでボイスサンプルを作りました!と更新すると、直接聞き心地の良い言葉をいただき、評価をしてもらえた!成長できた!と思いがちですが、結構危険な状態だと思っています。

 褒められる為に作るのではなく、お仕事につなげる為に無理なく作るので、承認欲求を満たすためのボイスサンプル作りはしない方がいいです。


 ボイスサンプルは一本あたり20秒〜30秒、長くても1分くらい。なので、多少無理をした声でもボイスサンプルならなんとかやれます。ですが、収録は何時間とやります。そのボイスサンプルでお仕事が決まった場合、その何時間という収録でディレクションに応え、表現を載せて、声を枯らさずにやり続けることができるでしょうか?

 おそらく、スタミナが切れが早くなり後半では滑舌が甘くなってきたり、疲れてしまって表現にならなくなったりしてしまいます。

 なので『長時間使える声、表現』でボイスサンプルを作りましょう。ナレーションは喋る量が多いので、長丁場となると声を変えてはだいぶしんどいです。いろいろできることをアピールしたい!色んなお仕事したいから!という気持ちもわかりますが、等身大の声で。

 ここから『ボイスサンプルにBGMはつけた方がいい』理由』を話していきます。そして営業に関しても、体験談を踏まえて書いていきます。

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【ボイスサンプルにBGMがある方がいい理由】

 結論からお話しします。

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正直に言います。話を上手くするため、映画を見たり本を読んだりのお金に当てます。直近、島に暫く住む予定なのでそちらの生活費に。