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【1月のAudible読書メモ①】

昨年末から年始にかけて3冊聴きました。


『おらおらでひとりでいぐも』 若竹千佐子

74歳、ひとり暮らしの桃子さん。
おらの今は、こわいものなし。

結婚を3日後に控えた24歳の秋、東京オリンピックのファンファーレに押し出されるように、故郷を飛び出した桃子さん。
身ひとつで上野駅に降り立ってから50年――住み込みのアルバイト、周造との出会いと結婚、二児の誕生と成長、そして夫の死。
「この先一人でどやって暮らす。こまったぁどうすんべぇ」
40年来住み慣れた都市近郊の新興住宅で、ひとり茶をすすり、ねずみの音に耳をすませるうちに、桃子さんの内から外から、声がジャズのセッションのように湧きあがる。
捨てた故郷、疎遠になった息子と娘、そして亡き夫への愛。震えるような悲しみの果てに、桃子さんが辿り着いたものとは

Amazon HPー単行本 

「老い」と「孤独」に向き合う桃子さんの姿を想像し、若い頃は、想像もしなかった自分の老いもこんな感じだろうかとしみじみ思うものがあった。
部屋で一人部屋にいるとき、病院の待合室にいるとき、外出先でけがをして助けを呼ぶことも戻ることもできずにいるとき、どの場面もナレーションの東北弁が情景を鮮やかに映し出し、くすっとしたり、苦しくなったり。

桃子さんは、一方で、「自由」についても独白している。その点についても、「あぁ、なんだかわかる」と共感してしまう自分がいた。

いつかまた、読み返したくなる日が来ると思う。その時どんな感想をもつのだろうか。今は想像できない。

東北弁を文字で追うのはなかなか難儀そうなので、Audibleで聴く読書にして正解だったと思う。


『アーセナルにおいでよ』 あさのあつこ

「おれ、今度、起業するんだ」幼馴染で初恋の相手・甲斐から突然呼び出された高校3年生の千香は、その文章力と思索力を見込まれ、スタートアップのメンバーとしてスカウトされた。会社の名前は「アーセナル」。「武器庫」という意味だという。コンプレックスを持つ千香。中学生で不登校になった甲斐。詐欺に巻き込まれて逮捕歴のある陽太。バツイチのコトリ。それぞれ問題を抱えた4人は、各々の個性と能力を武器に、「アーセナル」のために奔走するーー。

Audible HPより

新しいことを仲間と始めるときのワクワクドキドキ感がありつつも、本当にうまくいくのだろうかという危うさをずっと抱えながら聴いた。すなおに聴けないおばさんだ。

「アーセナル」は会社の名前だけれども、そこに込められた想いはそればかりではないだろう。それが、生きづらさでのどが詰まるような日々を送る若い人たちにそっと元気や勇気を与えてくれると思う。

過ちを犯したものが社会で生きるチャンスをもらえる社会であってほしいというメッセージが入っているようにも思え、この物語の続きがあるならば、この4人はこの先、この「アーセナル」をどのようにしていくのか気になった。

『板上に咲く - MUNAKATA: Beyond Van Gogh』原田マハ


たやすくはない道。到達点はまったく見えない。けれどいまさら、どうして立ち止まることができようか?
版画で世界に打って出た、日本が誇るアーティスト棟方志功の試練と栄光に迫る。感涙のアート小説。

「ワぁ、ゴッホになるッ!」1924年、画家への憧れを胸に青森から上京した棟方志功。しかし、絵を教えてくれる師もおらず、材料を買うお金もなく、弱視のせいでモデルの身体の線を捉えることが難しい棟方は、帝展に出品するも落選続きの日々を送っていた。やがて、木版画こそが自分にとっての革命の引き金になると信じ、油絵をやめ版画に注力することに……。ゴッホに憧れた青年は、いかにして世界のムナカタになったのか? 40余年夫を支え墨を磨り続けてきた妻チヤの目線で語られる、棟方の試練と栄光。国境、時代、人種を超え、今なお世界中で愛される棟方志功の真実に迫る、感涙のアート小説。

Audible HPより

先日、「現代の葛飾北斎になる」という「博士ちゃん」のテレビ番組を見た。そこから、私の興味が葛飾北斎→ゴッホ→棟方志功に行きついたわけではない。けれども、ゴッホは葛飾北斎に影響を受け、棟方志功は「ゴッホになる」と言って青森から上京したのを考えると何かこの本に出合う繋がりがあったのだと感じずにはいられなかった。

彼と彼を生涯支えた妻チヤについてこのタイミングで知れたのはとても良かった。欲を言うなら、もう少し早くにこの本に出会えていれば、東京国立近代美術館の「生誕120年棟方志功展」を観に行けたのに惜しいことをしたと思う。それくらい、このアート小説に心を持っていかれた。

何度も胸を熱くした。とりわけ、献身的なチヤの夫を真っ直ぐに応援する気持ちと言葉に心を打たれ涙した。また、棟方志功の妻や子どもを想う気持ちとその行動にもぐっときた。

棟方にとって神仏にも等しい柳宗悦と濵田庄司に見いだされ、感極まるシーンも感動的だ。ここを皮切りに最後まで何度も心を動かされた。

渡辺えりさんの朗読に驚嘆の連続だった。声のトーンも読みも素晴らしく、私は、Audibleを聴いているのではなくて、彼女の一人舞台を観ているのではないかと思ったくらいだ。


やっとメモを書きあげることができました~!
さあ、次は何を聴きましょう。楽しみです。

最後までお読みいただきありがとうございます。
また、次のnoteでお会いしましょう。




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