【読書感想文】冬森灯『うしろむき夕食店』
読むまでの過程
ごはんにまつわる物語を探してネットサーフィンしていたら見つけた一冊。
どうやら評判が良いとのことだったので、ちょうどお気に入りの図書館でも取り扱っていたのもあり予約して読みました。
表紙のエビフライ美味しそ可愛すぎる。
以下ネタバレ注意です。
雑記
とにかく物語の温かみがすごい。ぽっかぽか。
ひととひととのつながりが事態を好転させてくれる、読んでいて嬉しい、安心する、幸せになる作品だった。
「おじいちゃま」の存在を巡って、ちょっとミステリー要素もある。
それぞれの話の主人公たちが関係を築いていく様子も、それこそひととひととのつながりを感じさせてくれてなんだかいい。
登場人物はもちろん良いことばかりとはいかず、仕事に人間関係に悩みを抱えているのだけれど、「うしろむき夕食店」こと夕食店シマに来れば一筋の光を見つけられる。
店主である人生経験豊富な志満さんの言葉も、やたら不運な店員の希乃香の一生懸命な言葉も、お客さんの心を温めて前向きにさせてくれる。
目の前の相手を真摯に尊重して信頼する姿が、そうさせてくれるのかも。
お料理も心がこもっていてとても美味しそう。食べたい。おみくじ引きたい。このおみくじ怖いくらい当たりすぎてないか?
お酒の描写も美味しそうで、普段飲まないけどちょっと飲みたくなる。
うしろを振り返ってもいい、振り返ったらそれまで歩いてきた日々が連なっていて、そこに前に進むヒントがあるかもしれない、という考え方がすごく素敵だなと感じた。
お店までの道で迷う人々の前に毎話現れる、光りに照らされた軽やかな足取りの生き物は一体何なんだろう。
あの生き物の存在が、夕食店シマをファンタジーで彩っている気がする。
ステンドグラスとかも幻想的でミステリアスなんだよなあ。
まとめ:ちょっと不思議な、心がぽかぽかする夕食店の話
喫茶ドードーに引き続き、また通いたくなるお店が増えた。実際には無いけど!なんで無いんだ!だれか料理上手い人作ってください。お願いします。
登場人物も良い人ばっかりだし、常連になりたい。話聞きたいし聞いてほしい。
洋食店でも和食店でもなく夕食店、というのもいい。和洋折衷。それぞれの美味しいところ取り。
時々登場人物のつらい感情に引っ張られてウッてなるけど、丸ごと包んで読者側も温めてくれる良さがある。
ごはんにまつわる話が好きな人、不思議な飲食店の話が好きな人におすすめです!ぜひぜひ!