【読書感想文】『ほろよい読書 おかわり』
雑記
ネタバレ注意です!!!
青山美智子『きのこルクテル』
最初の文の伏線回収がスムーズ。すごい。
きのこやお酒の話なのに生き方の話にも繋がっていて、その繋げ方がとてもスマート。
主人公でライターの永瀬旬の恋愛へのまごまご具合に「思い切って行けー!」と叫びたくなる。でもこのテンポ感が良いのかもしれない。
東郷(兄)さんのナイスアシストにガッツポーズ。
朱野帰子『オイスター・ウォーズ』
どんな話が始まるんだろうと思ったら過度な復讐譚でした。過度でもないか?どうだ?
ストーリー的に取り返しつかなそうな感じはあれど、牡蠣を食べた個数を競っている2人がどうにも楽しそうというか余裕を感じるというか、不思議な話だった。
スリルは感じるけど嫌いじゃない。
なぜか行人と莉愛がもうバディになってるかのようなラストの掛け合い。
大きい会社の古臭い体制と、SNSの炎上というなんだか最近話題になってるテーマ。
一穂ミチ『ホンサイホンベー』
これもまた不思議というかそわそわするというか、ちょっと異国情緒漂うというか、そんな話だった。
突然の告白からの百合…百合なのか…?からの嘘発覚。終盤の展開がすごい目まぐるしい。
「このキャラクターは善良だな」と思わせてからの読者への裏切りがもはや気持ちよさすら感じさせる。
奥田亜希子『きみはアガベ』
なんで恋人は相手の人間関係に口出しする権利があると思われているのか。
なんとなくそれは恋人の特権でしょうと扱われてきたことをこうもはっきり口に出されると、「た…確かになんでなんだ…?」と思ってしまう。純粋な疑問。真理を突く中学生。Twitterでウケそう。
そういう束縛がなければないで物足りないのかもしれないけども。
朝香さんの「その面倒くささが恋愛の醍醐味じゃない」というセリフも分からんでもない。
主人公の圭一郎がメキシコに行く決め手がとても良かった。死の扱いが陽気なところ。死者の日が存在するというのは知っていたけれど、なるほどこうやって小説に生かすのか。
西條奈加『タイムスリップ』
え?じゃあタイムスリップするのかな?居酒屋見つけたときとたどり着くまでがなんだかファンタジーっぽいし。と思ったら違った。
でも居酒屋の雰囲気からノスタルジーみたいなものを感じる。
ていうかメニューと日本酒の品揃えめちゃめちゃいいな。通いたい店が増えた。
こういうストーリーで主人公が復縁するタイプって初めて見たかも。大体別れっぱなしな気がする。