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【読書感想文】標野凪『こんな日は喫茶ドードーで雨宿り。』



読むまでの過程


本屋で「喫茶ドードー」シリーズの本全3冊を見かけたのがきっかけです。
表紙の可愛さもさることながら、「喫茶店にまつわる話だからそわそわせず安心して読めるだろう」という今までの経験と先入観のもと、早速図書館で予約をしました。
ところがどのシリーズも予約いっぱい!
なぜかシリーズ3作目から逆行した順番で読むことに。
今回は2作目の『こんな日は喫茶ドードーで雨宿り。』を読みました。

以下ネタバレ注意です。

第一話 君が正解のオムレツ

自分が正解なんだと信じることができない私にとって、特にぜひ食べてみたい一品。
米沢夏帆の仕事への姿勢への迷いに、「いろんな働き方があっていいじゃん」というのは簡単だ。
けれどいざ自分と真逆の働き方を目の当たりにすると、比較して嫌な気持ちになったり焦ったりすることはある。
夏帆のように自分の長所は生かしつつも、はづきのような自分の短所を補ってくれる仕事のパートナーを見つけ、認められたら最高だと思う。
自分の仕事を「こんなもん」と思うことなく、「捨てたもんじゃない」と思えるようになったら、仕事も自分も誇らしく感じられるようになるだろうな。
私もそう思えるようになりたい。

第二話 傷つかないポタージュ

気遣いってめっちゃ難しいな〜〜〜!と思う話だった。
三嶋和希の目線で本を読んでいるから、「なんだよこのいい格好したがりのやつは。何が『お気持ちわかります』だよ。わかるわけないじゃん。わかってほしくもないわ!」とムカムカしていたけど、実際知人が父を亡くしたらどうだろう。
気の利いた一言なんてとても言えないし、何も触れないでいることがその相手にとって良いことなのかすら分からない。私は多分どうしていいのかわからなくて、結局その話題にはビビって触れないと思うけど。

そして受け手側として、心を冷静(平静)にしておくことで傷つく度合いを小さくする、というのは大事だなと思ったし実践したい。
最後の描写にうるっときた。

第三話 時を戻すアヒージョ

結婚したからといって子どもを持たなくてはいけないということはない。
でもすごく「夫婦に子どもありき」な世論を感じる。すごくすごく分かる。
会社が厳しくなった折、徳永夕葉が結婚していてかつ子どもがいない家庭だからって退職させられる描写には「ウッ」となった。
もちろん各家庭にいろんな負担や悩みがあるだろうけど、そんなことわかってるけど、なかなか自分を差し置いて周りを心配できるものではないと思う。
相手の立場や背景を想像することは大事だけど、自分も周りもバランスよく気遣えることが大事なんじゃないかな。

さて急にアヒージョの話になりますが、旨いオイルが残るのがもったいないなと思ってたんだよね。パンで吸いきれないしさ。パスタにすれば活用できるじゃんね。いいな。キノコのだしとか絶対出てるじゃん。食べたい〜〜〜。

第四話 自信が持てるあんバタートースト

世の中ルッキズムが流行りすぎている。
疲れる。いい加減にしてほしい。地味ってなんなん。個性を消してみんな同じ顔になってどうする。見分けつかなくなるじゃん。

最終的には鈴元朱莉が自信を持つと決めて進むことを選べてよかった。
自分を信頼することはめちゃめちゃ難しいので、同じように前に進めるようになるかはわからないけれど、そうありたいと思う。
自信ってどうやったら持てるんだろ。練習?

第五話 春一番のコトダマ

第3作にも登場していた磯貝睦子のルームウェア、着てみたい。絶対おしゃれじゃん。いいなー。週末にゆったりホテルで一泊するというのも憧れる。

この話で語られている「生きる意味」は私にはあまりピンとこなかったけど、少なくとも「難しく考えない」を実行できれば十分じゃないかと思う。
難しく考えるからこんがらがって、余計に訳わかんなくなることってあるよね。

第一話から第四話の登場人物の物語の続きがシャボン玉(コトダマ)を介して覗けたのも良かった。
各登場人物が前進しているのを見ると、こちらも頑張ろうという気になれる。

まとめ:第2弾も共感を呼ぶほかほか物語

第3弾から読み始めた私ですが、第2弾も共感できるもやもや、そしてそれを受け止める美味しそうな料理がいっぱいでした。
表紙ってあれか、アイデアだけ出てた桜あんぱんか。美味しそ可愛い。
ドードーの語りも可愛くて良い。
ドードーすら穏やかに過ごせる世の中であってほしいことだなあ。

そして標野凪さんが現役カフェ店主でいらっしゃるとは知らなかった。どうりで描写が美味しそうすぎるわけだ。
「喫茶ドードー」シリーズ以外も読んでみたいなあ。

ご飯にまつわる話が好きな人、もやもやを抱えている人におすすめの本です!ぜひぜひ!

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