DRAMチップメーカーを選ぶ意味は?JEDEC/XMP/EXPOは何? そして、G.SKILLとKingstonのhynix搭載品の見分け方。
■はじめに
※大前提QVLを確認しましょう
※Ryzen5000/7000のX3Dモデルは非X3Dよりメモコン耐性が低く、QVLが当てにならない場合も有ります
実例)DDR-6000 CL36 Samsung B-die が非X3Dでは安定しトレーニングも高速だが、X3Dでは安定しない or トレーニングが長い
理由として
V-cache保護のためSoC電圧が制限されるため、メモコンの耐性が非X3Dモデルより低下するため
※Intel 12-14世代においてはDDR4/DDR5両サポートのため注意
※Core UltraではM/Bが対応する場合にUDIMM/CUDIMM両サポートのため注意
■DDR5でDRAMチップメーカを選別する意味
〇JEDECで運用するなら気にしなくても良い
・XMP/EXPOの詰めたタイミング
・メモコン定格動作上限に近い場合
・メモコンOC領域
は気にする必要がある
〇DRAMメーカごとに懐の広さが違う
基本的にHynix M/Aを使用すべきで、クロック自体は6000Mhz以上ではHynix Aが回りやすい傾向になってくる
6000Mhz前後の時のレイテンシやタイミングはHynix Mが詰めやすいとされる
※QVL眺めてもHynixがよく回るのが事実
懐が広い 懐が狭い
HynixM or A ⇛ Samsung B ⇛ Micron
■JEDEC XMP EXPOの違いは?
〇JEDEC
・標準化団体のJEDECが定めた仕様及び、その仕様で動作を保証したモジュール
・タイミングは遅い
・基本的にQVLに無くても高確率で動作する
※SR/DRや最大装着枚数に関してはQVLが無いと確認しようがない
・DRAMクロックやタイミングはネイティブ動作品が多い
※モジュールとしての仕様とDRAMチップ単体の出荷仕様が同一なものが多いということ
〇XMP
・JEDECを拡張したIntel開発の規格
・JEDECより多くのパラメータを使う
・JEDECよりも速いタイミングで動作させるモジュールが基本
※パラメータテーブルが多いからこそ、タイミングを詰めることが実現できる面もある
・QVLにあるのが大前提
・DRAMクロックはネイティブ動作品とOC品がまちまち、タイミングはDRAMチップ単体の出荷仕様より高速
※例えば「4800 JEDECタイミング」のチップを「5600 JEDECより高速なタイミング」で使っている場合は、DRAMクロックをOCしタイミングを詰めたモジュールということになる
〇EXPO
・XMPのAMD版でAMD環境に最適化
■メモコン定格動作上限とは?
・各CPU内蔵のメモコンの仕様を確認
・枚数とSR/DR(片面実装/両面実装)での条件を確認
■メモコンOC領域とは?
・メモコン定格動作条件を上回る仕様で動作させる領域
・M/B及び搭載CPUのアーキテクチャに依存
■メモリクロックを高く/タイミングを詰める意味
・アーキテクチャによって幅はあるが性能が向上
※AMD/Intel の公称値はメモコンOC領域が基本
・チップレット構造のRyzenやCore Ultraではメモリクロックによる性能向上幅が大きい
・具体的な性能向上幅は TechPowerUpやTom's Hardware などの海外テックメディアが詳細に検証している
・クロックが早ければ良いというものでもなく、タイミングやメモリのバスクロックなどの動作比率とのバランス
※AMD/Intel 共にスイートスポットがCPUアーキテクチャごとに存在
■DRAMチップメーカの見分け方
1.QVLを漁る
・QVLに存在するチップメーカの組み合わせは必ず世の中にはある
・それ以外のDRAMが搭載されてないことを証明するものではない
(DRAMモジュールメーカは明示がなければ同じ型番で複数のDRAMチップメーカを使うことがある)
2.インターネットの海で情報収集する
・どのくらいの割合や時期でどこのDRAMチップメーカを使用しているか想定できる
3.購入時/購入後に確認する
・実店舗で購入時にS/N命名規則でメーカを確認する
・ネット通販の場合は返品自由なショップを利用しS/N命名規則でメーカを確認する
■命名規則の例(100%保証するものではありません)
G.SKILL
・SN末尾がMまたはAがHynix
M=Hynix M
A=Hynix A
B=Samsung B
Kingston
・SNの頭がETMHがHynix
ETMH=Hynix M or Hynix A
ETMM=Micron