神戸にはいろんな日本一がある
神戸には、地下鉄の駅としては日本一標高の高い駅がある。
神戸市営地下鉄・谷上駅だ。
地下鉄なのに、なんと標高244m。
日本一深いところにある東京都営地下鉄・六本木駅とは286.3m差もある。
東京タワーと重ね合わせるとその高さがよく分かる。
2020年までは、仙台の八木山動物公園駅が標高136.4mで日本一高い地下鉄駅だった。
谷上駅は、それを優に100mも超えて日本一に躍り出たのだ。
といって谷上駅は新駅ではなく、昭和3年にできたかなり古い駅だ。
それがなぜ2020年に日本一高い地下鉄駅に認定されたのか。
これには少々カラクリがある。
谷上には神戸電鉄と北神急行電鉄の駅があった。
このうち北神急行が2020年に神戸市へ譲渡され、地下鉄となったのだ。
それまで私鉄の駅だったものが、急に地下鉄の駅となり、一気に日本一高い地下鉄駅と認定された。
そんなのずるい…と仙台が言ったかどうかは知らないが、まぁずるい。
さらに言えば、仙台の八木山動物公園駅は、標高は高いけれど地下の駅。
対して神戸の谷上駅は地上の駅で、しかも高架。
やっぱりずるい…か。
ちなみに谷上駅は、神戸の中心市街から、六甲山の下を南北に貫く長い長いトンネルを抜けたところにある。
新神戸から谷上まで8分もかかり、間に駅はない。
街を走るはずの地下鉄でこれだけ長い間停まらないのも珍しい。
トンネルなのでもちろん外に灯りはなく、初めて乗った人は5分を過ぎたあたりから、まだ? まだ? 降ろして! と不安になったりもする。
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仙台以前の日本一は、これまた神戸の総合運動公園駅で、標高102.74mに位置する。
プロ野球のオリックスが神戸の球団だった頃の本拠地・神戸グリーンスタジアム(現・ほっともっとフィールド神戸)の最寄り駅だ。
震災の翌年、イチローの劇的なサヨナラ打でリーグ優勝を決めた地。
その時、僕もライトスタンドで歓喜の渦の中にいた。
その年のオリックスは日本一にも輝いている。
その後、仙台の八木山動物公園駅ができ、オリックスが大阪に本拠を移し、次々と日本一の称号を失って、総合運動公園駅はすっかり寂れてしまった。
でも、この駅のすぐ東側では、なんと新幹線の上をまたぐ。
地下鉄の下を新幹線がくぐるのは、日本広しといえど唯一ここだけだ。
山陽新幹線は東海道新幹線ほど本数が多くないため、ここで新幹線の車両と遭遇したことは残念ながら数回しかない。
この日も線路とトンネルしか見ることができなかった。
神戸にはいろんな日本一がある。
次はどんなの探そうかな。
(2021/9/13記)