これ以上に象徴的で心憎い演出があるだろうか
先日の記事で書いたように、noterの文子さんからご依頼をいただき、神戸旅のアテンド(同行ガイド)を引き受けた。
神戸初上陸かぁ、ならあそこへ行こうかな、いやあっちかな——
そんなプランニングをしているさなか、来訪直前に文子さんが書いてくださった僕の紹介記事を読み、ヒャァッとなる。
こ、これは期待を裏切ることは、ぜ、絶対に、ゆ、許されない…
*
昨日がその日だった。
はるばる東京から新幹線で来られた文子さんと新神戸の駅でお会いする。
noteから想像していたとおりのかわいらしい方だ。
神戸らしいところを歩きたいとのことで、まず「布引の滝」へ。
え、初神戸なら異人館では? いきなり滝へ行く?
いやいや、神戸の魅力は数あれど、街の最大の特徴が山と海が近いこと。
山、街、海が一体となっているのが神戸なのだ。
初の神戸なら、間近にあるこの自然から感じていただきたくて。
新神戸の駅はちょうど山と街の境界ライン上にあって、そこから南へ下れば街、北へ登ればすぐ山、そして滝だ。
布引の滝。
日本三大神滝として日光の華厳の滝、那智勝浦の那智の滝と並び称される。
落差43mの大滝だが、雨不足で水量が乏しくて残念。
でもこれが新幹線の駅から徒歩15分ということに文子さんから感嘆の声。
僕は徒歩15分なのに膝がガクガクする己の運動不足に感嘆の声。
ちなみに水量の多い布引の滝をプロが撮るとこうなる。
ここから、一気に海を目指す。
北野の異人館街を抜け、トアロードを一直線に下る。
明治の異人たちが北野の自宅から海辺の職場まで毎日通った坂道だ。
そんな往時を思い浮かべながら歩けばトアロードの魅力はさらに増す。
途中〈トアロードデリカテッセン〉でサンドイッチを買い求めた。
村上春樹をして「これを凌駕するサンドイッチにはまだお目にかかれていません」と言わしめたサンドイッチだ。
いつもは2Fの喫茶室で食べるが、昨日はテイクアウト。
旧居留地を抜ける頃、文子さんからは神戸ってきれいでオシャレな街ですねとの感想をいただいた。
ですです、最初に滝を見に行ったからよけいに引き立つんです。
激しく北風が吹きつけるメリケンパークのベンチでサンドを頬ばる。
いやもうほんま、スモークサーモンも、ローストビーフも、そしてハムまでも絶品やし、そしてしっとりパンがまたいかしている。
「これを凌駕する…」を凌駕する讃辞は見当たらない。
外で食べたらなんでこんなにおいしさが増すのだろうと話した。
サルだった頃の記憶が呼び起こされるからかなと言うと、文子さんがケラケラ笑う。
そのまま極寒の海辺でみっちり2時間、青空キャリアコンサルティング。
いろんな話を伺い、いろんな話をする。
メモを取りながら真剣な表情で聴く文子さんの頬が少し緩んできたキャリコン終盤、真正面の対岸にかすかな虹が架かった。
タイミングも場所も、これ以上に象徴的で心憎い演出があるだろうか。
話し終えたあとの文子さんの目線はぐいっと前を向いていた(ように思う)し、にこやかだった(ように思う)。
心は温まったのに、すっかり身体は冷えきってしまった。
文子さんの帰りの時間を睨みながら、神戸、大阪にしかないビアホールへ。
カリカリの鶏の唐揚げがたまらなくおいしい〈ニューミュンヘン〉だ。
今回、16時から夕食というご要望をいただいていて、正直これがもっともハードルの高いミッションだった。
マクドでよければ何時でもOKだが、ふつうの店は17時からなのだ。
ニューミュンヘン、通し営業でよかった。
いや、いったい何杯飲んだ?
文子さんのビール好きはなかなかのものだ。
noteの話、出版の話、文フリの話…尽きぬ尽きぬ。
おっと時間だ! 急げ、新神戸へ。
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今回はアテンド+キャリコンという初めてのケースだった。
「こんな神戸を見てほしい、あんな神戸も」と「じっくりお話伺ってしっかり未来を考えたい」を両立できただろうか。
文子さんからの感想もまたいただいて、アテンドの内容、キャリコンの方法、そしてその料金もバランスよく整えていきたい。
昨日の神戸は20℃近くまで上がるはずが実際は16℃止まりだったらしい。
極寒の青空キャリコンで文子さんが風邪引いてないかが心配だ。
文子さん、楽しい時間をどうもありがとう!
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文子さん視点の記事はこちら!
(2023/11/21記)