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これヤバいって、いつものに戻れなくなるって…

そうめん、大好き。
細く澄んだ麺をツルツルすするだけで夏の涼が舞い込む。

播州生まれだから、そうめんはやっぱり〈揖保乃糸〉。
揖保乃糸は兵庫県手延素麺協同組合の構成業者が作る共同ブランド。
そうめん産地は数あれど、揖保乃糸は国内1位の生産量を誇る。

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そうめんは奈良時代に唐から伝わった縄状の菓子〈索餅(さくべい)〉が原形とされ、室町時代に今の形になったという。
発祥はヤマト王権の中心だった三輪(奈良県桜井市)で、有名な〈三輪そうめん〉として現代にまで引き継がれている。

播州には、この三輪から製法が伝わった。
そういえば揖保乃糸の産地・兵庫県揖保郡は聖徳太子が治め、今なお斑鳩寺が建つほか、太子町という町もあって、奈良との繋がりはなかなか深い。

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揖保乃糸にはさまざまなグレードがあるが、主なものは次の三つ。

■ 三神
上質の原料小麦粉を使用し、組合が選抜指定した数軒の熟練した製造者にしかつくれないため、製造量は「揖保乃糸」全体のごくわずかです。手延そうめん「揖保乃糸」の最高級品です。
帯色:黒 太さ:0.55~0.60mm 本数:550本/1束50g

■ 特級

上質の原料小麦粉を使用して、厳寒期(12月~翌年2月)につくられる絶品です。製造は組合が選抜指定した熟練製造者に限定されています。
帯色:黒 太さ:0.65~0.70mm 本数:480本/1束50g

■ 上級

「揖保乃糸」の中で歴史のある帯の手延そうめんで、全生産量のおよそ80%を占め、最もご愛顧頂いている名品です。
帯色:赤 太さ:0.70~0.90mm 本数:400本/1束50g

(兵庫県手延素麺協同組合より引用)

ふだんスーパーで手に入るのは、赤帯の〈上級〉だ。

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現地には揖保乃糸の資料館〈そうめんの里〉がある。

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(そうめんの里公式サイト)

この資料館では、そうめんの歴史を大がかりな展示で学べるだけでなく、そうめんづくりの疑似体験ができるコーナーが人気。
今は高校生になった次男坊がまだ小さかった頃の写真だ。

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小引き(右)
寝かせた麺紐を少しずつ50cmまで延ばす。かなり力が必要で腰痛の元。
小分け(左)
麺同士がくっつかないように分け箸で分けながら、麺紐を延ばす。

こんな体験めったにできるものではなく、なかなか楽しい。

資料館には、揖保乃糸を堪能できるお食事処〈庵〉が併設されている。

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実はこっちが楽しみだったりして。

あぁもう写真を見るだけで涼しくなる、揖保乃糸。

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隣にあるのは、そうめんの巻き寿司。
断面の美しさを見ると、どうやって巻くのだろうと不思議。
でもちゃんと酸っぱく、立派に巻き寿司。
これは結構好きかも。

お土産に最上級品の黒帯〈三神〉を買って帰って食べた。
え! これヤバいって、いつものに戻れなくなるって…
でも近くで手に入るのはいつもの赤帯〈上級〉だけ。
選択肢なく、戻るよりほかない。

(2022/7/14記)

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へんいち
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